2003 Fiscal Year Annual Research Report
遠心溶媒抽出分離法による希少金属の回収及びリサイクル化システムの構築
Project/Area Number |
15560641
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
永長 幸雄 福井大学, 工学部, 教授 (20020224)
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Keywords | 希少金属イオン / 溶媒抽出 / 液液分配 / 遠心分離 / 二相間分離 / 金属回収 / リサイクル / システム構築 |
Research Abstract |
「未利用資源」として新しい有価材料に変換しリサイクル化できるかどうかの可能性に注目し、廃電化品から有用な金属塩を回収分離する技術を開発することは、資源の有効活用とその効率的循環の見地から、極めて意義深い。このような背景から、本研究では廃電子機器のうち蛍光体及び発光体、ミッシュメタルからの希少金属塩を分離回収することを目指して、まず各種金属イオンの溶媒抽出とその遠心溶媒抽出分離法への応用に関する基礎的研究を行って、目的成分の相互分離の可能性を検討する。さらに、得られた結果を適正評価しながら、総合的なリサイクルシステムを構築することを目的として研究を進める。 遠心液液分配クロマトグラフィー(HPCPC)は、固定相および移動相に混じり合わない二種の溶媒を用い、多数のチャンネルを備えた固定相中に、遠心力場で微小液滴の移動相を送液することにより多段階液液抽出を行なう方法である。特に類縁化学成分の分離には有用な分離法である。本研究では、固定相としてジアルキルリン酸/ヘプタン溶液を使用した。今回は、軽希土類金属イオン混合溶液中の各イオンの相互分離について検討した。 HPCPC装置にはセンシュー科学製LLB型を使用した固定相は2,136チャンネルから成り、全体積は230cm^3であった。また、固定相に0.08Mビス-2-エチルヘキシルホスフィン酸(BEHPA)/ヘプタン溶液50cm^3を、試料溶液には1×10^<-4>M金属イオン混合溶液1.0cm^3を用いた。ローター回転数800rpm及び流速2.0、1.0、0.50、024、020、0.10cm^3/minと変化させ、HPCPC分離を行なった。溶出液にアルゼナゾIIIでポストラベル後、各金属イオンを検出した。 上記の実験条件の中で、流速のほかに溶液のpHを変化させて最適の分離条件を検討した。その結果、La(III)、Ce(III)、Pr(III)の混合溶液では、pH2.95、流速0.20cm^3/minに設定することによりほぼ良好な分離が出来た。また、分離が困難とされるPr(III)及びNd(III)、Eu(III)及びSm(III)については、前者が流速0.20cm^3/min、pH2.95で、後者が流速0.20cm^3/min、pH2.30でピーク分離が可能であった。Gd(III)、Tb(III)及びDy(III)の混合溶液は、0.1Mトリクロロ酢酸(pH1.55)を用いて流速を0.2cm^3/minとすれば、上記の三種の金属イオンを分離できた。二つの金属イオンの分離係数αが小さいときは、流速を下げたり、エチレンングリコール又はエタノールを移動相に添加することにより分離能を改善することができる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yukio Nagaosa, Tao Wang: "Separation of some metal ions by high performance centrifugal partition chromatography with di-2-methylnonylphosphoric acid"Journal of Chememical Technology & Biotechnology. 79. 39-43 (2004)
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[Publications] Tao Wang, Yukio Nagaosa: "Separation of some transition metal ions in the presence of tartrate by HPCPC with bis-2-ethylhexylphosphinic acid"The 3^<rd> international conference on countercurrent Chromatography (Tokyo). 発表予定(8月). (2004)