2004 Fiscal Year Annual Research Report
遠心溶媒抽出分離法による希少金属の回収及びリサイクル化システムの構築
Project/Area Number |
15560641
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
永長 幸雄 福井大学, 工学部, 教授 (20020224)
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Keywords | 希少金属イオン / 溶媒抽出 / 液液分配 / 遠心分離 / 二相間分離 / 金属回収 / リサイクル / システム構築 |
Research Abstract |
平成15年度に引き続き、アルキルリン酸などの錯形成試薬を用いた希土類及び遷移金属イオンの溶媒抽出及び遠心溶媒抽出分離に関する基礎的研究を行った。また、廃電子機器を処理するための各工程での操作条件を確立することを目的にし、分離回収した金属塩を再び加工製造するための技術を実証化した。さらに、製品の原材料として又は新規な有価材料へ再資源化するための様々な処理条件について検討し、総合的なリサイクルシステムを構築することを目的として研究を進めた。具体的には、使用済電子機器の対象物質として、蛍光管(イットリウムのほか希土類金属塩)、テレビ発光体(サマリウム、ユウロピウム)、二次電池正極活物質の硫酸ニッケル塩などの再処理とリサイクル化について検討した。 ビス-2-エチルヘキシルリン酸(BEHPA)を抽出剤に用いた遷移金属イオンとイットリウム(III)の溶媒抽出と遠心溶媒抽出分離を行った。実験結果から、移動相中に補助錯化剤として酒石酸を加えると、金属イオンの溶出曲線は特異的に変化することがわかった。特に、鉄(III)を他の金属イオンから選択的に除去できた。また、ニッケル(II)と共存する遷移金属イオンを固定相中に分離できることから、本法はニッケル塩の精製に利用できることを示唆した。イットリウム(III)の抽出及び分離に関する研究では、ランタン(III)などの軽希土類金属イオンよりも低pH領域から抽出できることを利用すれば、遠心抽出分離が可能であると期待される。 次に、上記の使用済電子機器の部品を取り出し、酸による溶解と沈殿分離の実験を行った。その結果、硫酸または硝酸で溶解するのは最適であり、その後アンモニアを加えて金属水酸化物とし、目的金属イオンを沈殿として回収できた。希土類金属の種類が少なければ、単一の溶媒抽出法寿分離できるが、遠心抽出分離法を用いれば、効率良く分離できることがわかった。 本研究の成果は廃電子機器中からの有用金属の分離回収とリサイクルに斬新な知見と情報を提供でき、電気メーカー及び関連業界に対して種々の有用物質の分離と回収技術の発展を促すばかりでなく、リサイクル事業の活性化と高度化に資すると考えられる。
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Research Products
(1 results)