2003 Fiscal Year Annual Research Report
液相からの半導体結晶育成機構に及ぼす電場印加効果の解明と放射線検出機用材料作製
Project/Area Number |
15560652
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡野 泰則 静岡大学, 工学部, 助教授 (90204007)
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Keywords | 結晶成長 / 電場 / 対流 / 熱移動 / 物質移動 / 半導体 |
Research Abstract |
まず、これまでGaAs、InGaAs等のIII-V族化合物半導体結晶成長に用いていた結晶育成炉をCdTe/CdZnTe結晶成長が可能なように装置の改造を行なった。特に有毒ガスの安全処理、高蒸気圧による爆発の回避に注力した。 装置の健全性を確認するために既に実績のあるIII-V族化合物半導体を用い確認実験を行なった。その結果、以下のことについて確認した。 ・電場を印加することにより本来であれば結晶が析出しないような低温度においても結晶が析出する。これは本方法により高品質結晶育成が可能であることを示唆している。 ・結晶成長速度は印加する電場強度に完全に比例する。また結晶成長厚みは結晶成長時間に比例する。これは本法が完全自動化に適していることを意味しており、実用化において極めて意義のあることである。 ・磁場を印加することにより同じ印加電場強度においても結晶成長速度は増加する。しかしあまり強い磁場を印加するとかえって結晶成長は抑制されてしまい、結晶にホールが発生するなどといった悪影響を及ぼす。この結果から最適な磁場強度が存在することが判った。 一方結晶育成メカニズムを解明するために数値解析を行なった。ナヴィエ・ストークス式、エネルギー方程式、エレクトロ・マイグレーションを考慮した拡散方程式を集中格子上に有限体積法を用い離散化し、SIMPLE法を用い解析した。その結果電場印加に起因するペルチェ効果により基盤温度が下降し、その結果システムを等温に保ったとしても自然対流が発生することが判った。そのため、磁場を印加することにより対流が抑制され、結晶成長速度が促進することが判った。しかしなぜ強磁場下においては結晶成長に不具合が発生するのかは依然不明であり、次年度以降集中的に原因究明を行なう予定である。
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[Publications] H.Minakuchi, Y.Okano, S.Dost: "A three dimensional numerical study of Marangoni convection in a floating full zone"International Journal of Materials and Product Technology. (発表予定). (2004)