2005 Fiscal Year Annual Research Report
非有機溶媒系雰囲気下における巨大分子の拡散性とその定量化
Project/Area Number |
15560658
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
船造 俊孝 中央大学, 理工学部, 教授 (60165454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影井 清一郎 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (20017966)
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Keywords | 拡散係数 / 非定常応答法 / Taylor法 / クロマトグラフィックインパルス応答法 / 相関式 / 超臨界流体 |
Research Abstract |
超臨界流体中における分子量の大きな溶質の拡散係数の測定例は非常に少ない。その理由として、分子量の大きな溶質についての測定上の困難さがある。これまで、超臨界流体中における種々の物質の拡散係数は、そのほとんどがTaylor法によるもので、一部キャピラリー細管法が用いられている。本研究グループ以外で測定されている溶質の最大分子量は885のtrioleinであるが、そのデータの信頼性は低く、また、分子量が500を超える溶質の測定データ自体が非常に少ない。従って、本研究では、より大きな分子量をもつ溶質の拡散係数について、精度の高い測定法の確立と、データの集積、推算法の確立を目的とした。また、Taylor法では応答曲線のテーリングに起因する測定精度の低下から、極性溶質についても実測例が少ない。本研究では極性溶質についても高精度の測定を目指した。 測定法として、本研究グループが開発したクロマトグラフィックインパルス応答(CIR)法を、より分子量の大きな溶質の測定が可能になるよう、(1)信号強度の非常に弱い応答曲線からのノイズ処理法と(2)コイル状に巻かれていることに起因する2次流れの補正法を新たに開発した。 ノイズ処理と二次流れの補正を用いたCIR法により、分子量の大きな、あるいは極性の溶質について、広範囲な温度、圧力条件下で拡散係数の測定を行った。測定した溶質は、長鎖不飽和脂肪酸とそのエステル類(arachidonic acid, docosahexaenoic acid, eicosapentaenoic acid, linoleic acid, a-linolenic acid, γ-linolenic acid, γ-linolenic acid methylester, γ-linolenic acid ethyl ester, oleic acid, oleic acid methyl ester, oleic acid ethyl ester)、グリセリド類(monoolein, diolein, triolein, triarachidonin, trierucin, trinervonin)、極性物質(benzoic acid, methanol, ethanol,1-propanol,2-propanol, phenol)、その他にβ-carotene、a-tocopherolである。本研究で測定した溶質の最大分子量はtrinervoninの1138であり、これはこれまで国内外で報告されている最大の分子量である。 推算法としては、Schmidt数による相関式と溶媒粘性との相関式について、推算精度を検討し、他の相関式と比べて、この2つの相関式が上記物質の測定値および既往の測定データを精度よく相関できることを示した。
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Research Products
(3 results)