2003 Fiscal Year Annual Research Report
エミッションを低減するための固体触媒によるバイオディーゼル燃料製造プロセス
Project/Area Number |
15560668
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (00177312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 武重 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20041543)
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Keywords | メタノール / トリグリセライド / エステル化 / バイオディーゼル / BDF / 固体触媒 / 塩基性触媒 |
Research Abstract |
バイオディーゼル製造においては従来利用されている原料として、植物油(トリグリセライド)とメタノールを用いた。触媒としては、均一系触媒および固体触媒を調査した。KOH、CaO、Ca(OH)_2、BaO、Ba(OH)_2、CH_3OKを検討した。セパラブルフラスコに水冷式コンデンサーを接続してメタノールを還流させながらマグネチックスターラーにより攪拌を行いながら反応をさせた。反応温度は恒温水槽によって一定温度に保った。原料への触媒の溶解度から見るとCH3OK、BaO、Ba(OH)_2は活性が大きいものの溶解度が大きく、一方CaOは他の触媒に比べて活性は劣るものの溶解度は0.004%と本実験で使用した触媒の中で最も小さい。回分反応器による実験で有力と思われたCaOを担持触媒として調製した。CH_3OK、BaO、Ba(OH)_2は均一系触媒であるKOHとほぼ同じ活性を示した。しかし、CaOでは他の触媒と比較して活性はやや低くなった。反応温度を上げ、調製条件を調整することでCaOについても高い反応率が得られることができた。KOHは約10分で収率が90%に達するのに対しCaOを用いた場合は約2時間で同じ収率になった。これは、KOHは反応前にメタノールに溶解しており実際の反応は液-液の2相系で進行する。この場合の活性種はメタノールとKOHの反応により生成したCH3OKであると報告されている。そのため、反応速度を決定する一つの因子は油相とメタノール相の接触面積である。一方、CaOはメタノールに対して溶解度が小さいために実際の反応は液-液-固系の3相反応である。この場合、活性種となるのはCaOの固体表面に生成したCa(OCH_3)_2であり強塩基性を示す。触媒固体表面での反応機構を考えると油脂とメタノールが固体表面に交互に接触しなくてはならずKOHと比べるとより複雑な反応になる。そのためCaOの反応速度はKOHに比べるとやや劣る。CaO担持触媒では使用回数を重ねるにつれて反応速度が低下したため、この劣化の原因について明らかにした。
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