2004 Fiscal Year Annual Research Report
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15560672
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮脇 長人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80012053)
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Keywords | ペクチン分子間相互作用 / 水分活性 / 水溶液構造 / 活性化エネルギー / ゾル-ゲル転移 / 水素結合ネットワーク |
Research Abstract |
タンパク質や多糖類などの生体高分子においては、その水和構造と機能との間には密接な関係があるが、これを溶媒側、特に生体高分子にとって最も重要な溶媒である水の側から機能にアプローチをしようとする試みはその重要性にもかかわらず十分にはなされていない。実際、例えばタンパク質の立体構造が決定されても、そこから機能へは未だ大きな距離があり、これを埋めるためには溶媒側からの研究は必要不可欠である。生体高分子の水和においては、一般に、一分子の高分子に対して多数の水分子が水和し、その効果は協同的に作用すると考えられる。本研究においては、このような協同的水和がタンパク質、熱安定性、サブユニット相互作用、酵素反応特性、さらにタンパク質および高分子多糖類の分子間相互作用を反映するゾル・ゲル転移特性などに対して及ぼす影響を、溶液熱力学的手法を主要な手段として解析し、水溶液中における生体高分子機能の本質を明らかにすることを目的とする。 本年度は、糖水溶液中における高メトキシルペクチンの分子間相互作用を粘度測定により推定し、それに対する水分活性の効果、ならびに糖の種類による影響について検討した。その結果、水分活性低下と高分子間相互作用増大とは線形関係にあり、また、糖の種類による効果は水溶液構造変化を考慮することにより説明できることを明らかにした。さらに、高分子間相互作用の温度依存性から、活性化エネルギーを測定した結果、高分子相互作用変化の活性化エネルギーは、純水中の水素結合ネットワーク変化の活性化エネルギーよりも大きいことが明らかとなった。 さらに、今年度は、酵素反応の反応場として超臨界二酸化炭素を用いた研究も行った。これは有機溶媒に代わる安全で不燃性の天然溶媒としての意味を有している。超臨界二酸化炭素中におけるリパーゼ反応は、その安定性、活性に対して水分が重要な影響を及ぼすことがわかった。
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