2004 Fiscal Year Annual Research Report
岩石のマイクロメカニックス試験による破壊過程の可視化とシミュレーション
Project/Area Number |
15560699
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
板倉 賢一 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (20168298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一彦 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (30002009)
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Keywords | マイクロメカニックス試験 / 微小供試体 / き裂成長 / 複雑さ / 可視化 / 個別要素法 / DEM / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、構造を把握しやすい微小岩石供試体を用いて、顕微鏡下の載荷試験(マイクロメカニックス試験)を行い、き裂成長の可視化と構造の複雑さとの関係を明らかにする。また、得られた物性値を用いて個別要素法(DEM)による破壊のシミュレーションを行う。 今年度は、本補助金により購入した偏光顕微鏡を用い、花崗岩供試体の構成粒子や潜在き裂を事前に観察し、顕微鏡画像の解析により各構成粒子の形状の複雑さを評価した。構成粒子形状の複雑さと破壊強度との関係を調べた。また、破壊強度や破壊形態の温度依存性を調べるために、小型加熱チャンバーを試作したが、実験を行うまでには至らなかった。個別要素法による数値シミュレーションでは、本年度新たに3次元DEMプログラムを開発した。顕微鏡観察を基に、内部にき裂面を有する3次元供試体モデルを作成し、マイクロメカニックス試験と同様の条件下で引張試験を実施した。 以下には、今年度得られた成果を示す。 1)直交する3方向から切り出し作製した微小供試体(H,G,R供試体)の顕微鏡観察により、それぞれ潜在き裂の分布形態が異なることを確認した。そのき裂の配向性に従い、引張強度、限界ひずみも、H、G、Rの順に大きくなった。すなわち、R供試体では、潜在き裂が進展して破壊し、G、H供試体では潜在き裂に沿ったせん断すべりが先行して破断に至った。 2)同じ供試体においては、構成粒子のうち軟質な黒雲母の形状が複雑であればあるほど、引張強度が低下することを確認した。形状の複雑さを表現するパラメータとしては、フラクタル次元や繁雑度が有効であった。 3)3次元供試体モデルの内部に、H、G、R供試体に相当する潜在き裂を加え、破壊シミュレーションを実施した。その結果、実験と同様に引張強度はH、G、Rの順に大きくなった。また、それぞれの破壊過程の違いを確認することができた。
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