2003 Fiscal Year Annual Research Report
減圧レーザ誘起プラズマ発光分光法によるスクラップ素材のオンライン迅速分析法の開発
Project/Area Number |
15560705
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
我妻 和明 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30158597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 秀幸 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00181735)
|
Keywords | 発光分光分析法 / レーザ誘起プラズマ / オンライン分析 / 素材分別 / 迅速分析 / 元素定量 / スクラップ分析 / 資源再生産 |
Research Abstract |
スクラップ素材の迅速分析に使用できるレーザ誘起プラズマ測定セルを作製した。セル内部を減圧にするためにシリコンゴムのガスケットを使用し、測定対象物に密着できる構造を持つものであり、油回転ポンプを使用し真空排気口によりセル内部を排気して、数Paの真空雰囲気保つことが可能であり、また、ガス導入口より一定流量のアルゴン等のガスを導入することができる。プラズマ生成のためにNd : YAGレーザ(ピーク出力160mJ、パルス幅約20ns、繰り返し周波数10Hz)を使用し、レーザー光学系を使用してレーザ光をセル内部に導き試料表面に照射した。発生したプラズマからの試料原子の発光は、スペクトル測定用の光ファイバケーブルにより分光器(分解能0.05nm、測定波長範囲200-800nm波長走査型)へと導き、試料からの発光を分光解析した。 レーザ誘起プラズマの分光特性を評価するために、銅/ニッケル/鉄等を試料として、測定系の装置パラメータによる発光スペクトル強度に与える影響について検討した。レーザ波長は532nmである。レーザ出力、繰り返し周波数を変化させて最適分析条件を検討した。また、測定セルの真空度も重要な装置パラメータであり、プラズマガスとして、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素を用い、それぞれについて導入圧力が発光スペクトル強度に与える影響について詳細に検討した。その結果、プラズマの分析特性はプラズマガスの種類と圧力に大きく依存して、数Torrの減圧雰囲気の場合に、最も良好な特性を示すことがわかった。また、電荷移動衝突によるものと推定されるスペクトル線の励起現象を確認することができた。これらの研究成果は、日本分析化学会年会、日本鉄鋼協会講演大会、日本学術振興会製鋼第19委員会にて研究発表を行うとともに、2003年9月スペインのグラナダで開催された国際会議CSI XXXIIIにて研究発表を行った。また、裏面に示すように、本内容は3種の学術論文にて公開ずみである。 さらに、スクラップ素材の迅速分析に使用できる分析法として、グロー放電プラズマによる発光分析法も検討した。変調測光法による高精度分析、自己バイアス電流導入法による高感度化などが主な研究成果であり、学会発表、国際会議発表を行った。また、裏面に示すように、本内容は3種の学術論文にて公開ずみである。
|
-
[Publications] T.M.Naeem, H.Matsuta, K.Wagatsuma: "Effect of plasma gas for spectrometric analysis of tin and zinc using low-pressure laser-induced plasma"Spectrochimica Acta, Part B. 58B. 891-899 (2003)
-
[Publications] H.Matsuta, T.M.Naeem, K.Wagatsuma: "Emission intensity modulation of radio-frequency helium glow discharge emission source by laser"Analytical Sciences. 19. 813-814 (2003)
-
[Publications] H.Matsuta, T.M.Naeem, K.Wagatsuma: "Effect of laser wavelength on the selective vaporization of Cu-Zn alloy in laser ablation at low pressure"ISIJ International. 44. 220-222 (2003)
-
[Publications] K.Wagatsuma: "Direct determination of arsenic in steel by glow discharge optical emission spectrometry with argon-helium mixed gas"Analytical Sciences. 19. 325-327 (2003)
-
[Publications] 松田秀幸, Tariq Mahmood Naeem, 我妻和明: "自己バイアス電流導入型高周波ヘリウムグロープラズマ励起源の分光特性"分析化学. 52. 439-445 (2003)
-
[Publications] K.Wagatsuma, K.Kodama, H.K.Park: "Precise determination of manganese in steel by glow discharge optical emission spectrometry associated with voltage modulation technique"Analytica Chimica Acta. 502. 257-263 (2004)