2003 Fiscal Year Annual Research Report
固体酸化物形燃料電池小型分散電源システムの電力負荷追従運転に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15560732
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
乾 義尚 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70168425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 衡平 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10283491)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / 小型分散電源 / 可変負荷運転 / 単セル板 / 温度分布一定制御 / 熱ストレス |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池は,セラミックを高温で使用しているため,熱ストレスに対して脆弱で,温度変動がセルの剥離や亀裂などの破損の原因となるという欠点がある.従って,セルに急激な温度変動が加わる起動・停止の回数を必要最小限に抑える必要があるのはもちろん,運転中もできるだけセル内の温度分布を一定に保つ必要がある.このような運転は,一定出力でベースロード運転とすれば容易に実現可能であり,従来想定されていた大規模集中電源であればそのような運転でも問題ない.しかし,小型分散電源は可変負荷運転できなければ普及しないと予想される.この場合,負荷が変化すると,セル内の熱バランスが変化するので,通常はセル内の温度分布も変化することになる.従って,固体酸化物形燃料電池を小型分散電源に適用するためには,負荷が変化してもできるだけセル内の温度分布が一定に保たれるようなその運転制御方法を確立しておく必要があると考えられる.そこで,今年度は,平板型固体酸化物燃料電池の可変負荷運転の実現を目指して,その単セル板に対する解析コードを開発し,それを駆使した数値シミュレーションにより,負荷が変化してもセル破損の原因となる温度分布変化ができるだけ起こらないような運転制御方法に関する検討を行った.その結果,空気流量と入口ガス温度を一定で運転すると,負荷変化にともなってセル内温度分布が大幅に変化するが,空気利用率と入口ガス温度を一定で運転すると,その変化が大幅に緩和されることがわかった.さらに,この空気利用率と入口ガス温度一定の制御をベースとして両条件を微調整する最適制御を行えば,並行流タイプおよび対向流タイプのどちらのセルについても,負荷が変化してもセル内の温度分布が定常的にも過渡的にもほとんど変化しないことを明らかにし,平板型固体酸化物燃料電池は可変負荷運転可能であることを確認した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Inui, S.Yanagisawa, T.Ishida: "Proposal of High Performance SOFC Combined Power Generation System with Carbon Dioxide Recovery"Energy Conversion and Management. 44・4. 597-609 (2003)
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[Publications] 乾 義尚, 石田太一, 松前友広: "加圧燃料空気作動固体酸化物形燃料電池を用いた炭酸ガス回収式高効率複合発電システム"電気学会論文誌B分冊. 123・9. 1097-1104 (2003)
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[Publications] 乾 義尚, 須藤哲郎, 伊藤信之: "平板型固体酸化物燃料電池単セル板の動作特性シミュレーション"電気学会論文誌B分冊. 124・2. 291-298 (2004)