2005 Fiscal Year Annual Research Report
超プロトン電導性ガラスの創製と酸水素燃料電池への応用
Project/Area Number |
15560735
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Research Institution | Chubu University, |
Principal Investigator |
桜井 誠 中部大学, 工学部, 助教授 (10278260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 誠 中部大学, 工学部, 教授 (10236317)
渡辺 誠 中部大学, 工学部, 教授 (00097677)
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Keywords | 燃料電池 / 固体電解質 / プロトン電導性固体電解質 / リン酸塩ガラス |
Research Abstract |
本年度は合成の改善の目的からボールミルによるミキシングを行ったところ、ガラスの均一性が格段に上昇し、安定なガラス合成ができるようになった。SrO-MgO-P_2O_5系ガラスでは、焼成温度700℃、焼成時間60分において240℃付近がガラス転移温度となり、380℃付近からガラスの溶融が始まっていることが分かった。これは一般的なガラスなどと同じ焼成温度のおよそ1/3であり安定性が良いことが分かる。含水率はこれまでに報告されているガラスより極めて高く、5wt%以上であった。100℃でガラスに含まれている水分が気化するため、150℃以上ではガラス中でのプロトンの伝導機構がそれ以下の温度と異なることが分かった。これはTG-DTAでの100℃付近での質量減少が水分による減少であることを示しており、また、活性化エネルギーの相違からも同じことがいえる。本研究のリン酸塩ガラスは超イオン伝導領域であったが、10^<-4>S/cmオーダーであったため、燃料電池として応用できるものではなかった。しかし、含水率が向上すると導電率も改善された。ガラスの安定性の面から考えると、800℃で合成したガラスが耐水・耐熱性に優れていた。プロトンのNMRでは、プロトン濃度の変化に合わせて重合度が高くなる焼成温度800℃では、750℃まで確認できた15ppm付近のピークが確認できなくなっていることから、このピークは水素結合していないimmobileな-OHであると考えられる。リンのMAS NMRでは、Q_0・Q_1が本研究におけるガラスではほとんど確認できず、これらのガラス中にはオルトリン酸基および末端PO_4基がほとんど存在しないことを意味し、これらのガラスが中間PO_4基のみを含む、高分子量の長鎖状リン酸塩であることを示していると思われる。また、高温焼成の800℃になると中間基の数が増え重合度が高くなるため700〜750℃に比べQ_2ピークが高磁場側にシフトしていることを確認することができた。これは温度が上昇するにつれ、高重合しているためであると考えられる。 さらに、FT-IRの結果から焼成温度の向上とともに、band2のピーク位置が高波数側にシフトしており、これは、リン酸含量の変化でも同じ挙動を示す。この変化は面積の変化にも依存しており、プロトン濃度と何らかの関係があることがわかった。
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