2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウェルナーヘリケース遺伝子ファミリーのジーンターゲティングによる機能解析
Project/Area Number |
15570001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 稔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20311558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 洋志 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00241555)
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Keywords | ゲノム / 老化 / 癌 / 染色体 |
Research Abstract |
ウェルナー症候群の原因遺伝子として同定されたウェルナーヘリケース(WRN)を始めとするRecQタイプのDNAヘリカーゼ遺伝子ファミリーは、ヒト及びマウスにおいては、少なくとも5種類以上のメンバーからなることが知られている。そのうちWRN、BLM、RecQ4については、いずれも染色体不安定を伴うヒトの劣性遺伝病の原因遺伝子であると同定されてきたが、これらの疾患が示す臨床像を説明し得る十分な作用機構については未だほとんど不明である。そこで、WRN、RecQ1、RecQ4,RecQ5の4種類についてノックアウトマウス(KO-Mice)を作製し、老化の表現型、発癌、DNA組換え、修復異常、ゲノム不安定性などの観点から、高等生物の生体内における各RecQヘリケース遺伝子ファミリーの機能・役割分担を解析している。各KO-Miceは既に樹立され、現在継続して解析を行なっているが、今年度は、Rothmund-Thomson症候群の原因遺伝子と同定されたRecQ4に関する3種類のKO-Miceについて解析した結果を報告する。 1.ほぼヌルタイプ(Nアレル)となるホモ変異体は、胎生3.5〜6.5日にアポトーシスが亢進し致死であった。2.ヘリケースドメイン上流をCre-loxPシステムにより欠失可能なコンディショナル変異(S´とSアレル)を導入したマウスは、ヘテロ、ホモマウスともほぼ正常に生まれ、成長し発育してくることが確認できた。また、NとS´のヘテロマウス同士の交配により得られるS´/Nコンパウンドヘテロマウスは、ほぼメンデル則に従って得られ、4週齢を過ぎた頃から、オス・メスともに成長遅延が次第に顕著に認められた。12週齢を経過した頃から、全身の毛の白髪化や尾の皮膚の病変が次第に顕著となった。皮膚の病理標本をFontana-Masson染色した結果、変異マウスにおいて特異的にメラニン色素が低下していることが明らかとなった。3.ヘリケースドメインまでを完全に保持し、それ以降のC端のみを欠如するトランケーションタイプ(Tアレル)のKO-Miceは、ホモ変異体の存在が確認でき、経過観察している。
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