2004 Fiscal Year Annual Research Report
森林性高木種の萌芽再生戦略:萌芽能力にばらつきがあるのはなぜか?
Project/Area Number |
15570010
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Research Institution | National University Corporation Yokohama National University |
Principal Investigator |
酒井 暁子 国立大学法人横浜国立大学, 環境情報研究院・COEフェロー(常勤形態) (20344715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 聡樹 東北大学, 生命科学研究科, 助教授 (90272004)
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Keywords | Seasonal sprouting ability / Total nonstructural carbohydrate / Shoot / Root ratio / Nonstructural / Structural carbohydrate ratio / Re-allocation strategy / Root function / Quercus serrata / Disturbance tolerants |
Research Abstract |
高い萌芽再生能力を持つ樹種コナラの3年生栽培稚樹を用い、非構造性炭水化物(貯蔵物質)および乾重とその差分(構造体)に分けて資源量を定量した。5、6、7、8月のいずれかの月に当年伸長部分をすべて切除し(個体重の5割相当)、翌月〜11月のいずれかの月か翌5月の展葉後に採取した。光条件は相対照度100%と30%の2通りである。 損傷を与えない場合、根の貯蔵物質は、展葉直後の5月を除くと季節・明るさによらず構造体重量とほぼ正比例の関係にあり、約20-50%と高い値を示した。地上部重量は根の構造体重量と強い相関があった。 損傷を受けると、翌月までに根の貯蔵物質が切除時点の2、3割程度にまで減少し、同時にほぼ全ての個体でシュート再生が開始した。切除一ケ月後の貯蔵物質の減少量とシュート再生量は強い相関があった。一方、根の構造体重量はあまり変化しなかった。 損傷時期が遅くなるほど貯蔵資源量が増えるために初期再生量が増える傾向にあるが、一方、再生後のRGRが低くなり、また残りの生育期間が短くなる。このため6月に切除した場合に個体サイズの回復率はもっとも高かった。 損傷月・明るさによらず、11月には非損傷個体と同程度の地上/地下部比に戻り、5、6月切除個体では根の貯蔵/構造比も戻った。翌年5月には、5〜7月切除個体は非損傷個体と同じ比率で新シュートを形成し、損傷の影響は個体サイズの低下のみとなった。
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