2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮崎 龍雄 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 教授 (80142230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富樫 辰也 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 助手 (70345007)
吉村 仁 静岡大学, 工学部, 教授 (10291957)
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Keywords | 植物プランクトン / プランクトンのパラドックス / 富栄養化のパラドックス / 競争 / 栄養塩 / 格子モデル |
Research Abstract |
植物プランクトンの共存機構についての検討を行った。低栄養塩・低流量状態における格子モデルを用いた理論的検討をおもに行なった。植物プランクトンは、均質な水環境中に生息するにもかかわらず、多種が共存している。競争的排他原理が必ずしも成立していないように見える。この一見すると矛盾にみえる現象「プランクトンのパラドックス」の解明を試みた。また、低栄養塩になると多様性があがり、栄養塩量が増えると多様性が減る。栄養状態がよくなれば多種存在が可能になると思われるが、実際は多様性がさがる。この「富栄養化のパラドックス」と呼ばれている現象の解明も試みた。植物プランクトンは、均質な水環境にいる。しかし、個々の細胞が均一に水の中に存在するかどうかは不明である。従来の研究では、個々の細胞が均一に存在するという仮定のもとに議論が進んできた。本研究では、格子モデルを使い、存在様式と種の共存を考えた。細胞は栄養塩濃度が低く水の動きの少ない場合には、局所において増殖をし、部分的に塊のようになりながら増殖をしていくことが明らかになった。十種の植物プランクトンを考え、栄養塩濃度に対する成長率が異なるように設定すると、時間がたつにつれ、共存できる種数が徐々に減少してきた。完全に平衡状態ではないが、十分に長い時間(生態学的平衡時間)たつと、最も低い濃度領域では種数が少なめであり、濃度が少し高くなると種数が増大し、さらに濃度が高くなると種数が減少した。これは、「プランクトンのパラドックス」および「富栄養化のパラドックス]を説明するものであった。
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Research Products
(5 results)