2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 雅男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50270905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 史生 常磐大学, コミュニティ振興学部, 講師 (10326811)
吉岡 基 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30262992)
宮崎 信之 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40101464)
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Keywords | マッコウクジラ / 潜水行動 / データロガー / ハクジラ類 |
Research Abstract |
2003年6月、8月に紀伊半島熊野灘沖、10月に小笠原父島沖で、吸盤吸着型データロガーのマッコウクジラへの装着を試みた。熊野灘では、残念ながら、当該時期のマッコウクジラの回遊数が少なく、装着に至ることができなかった。小笠原父島沖では、2頭のクジラにタグの装着を成功させることができた。装着翌日の海況の悪化とクジラが予想外に長距離移動したため、タグ1個の回収ができなかった。もう一方のタグは装着翌日に回収され、約14時間の潜水データを得た。基本的なプロファイルを解析したところ、日中は1000m程度の潜水を連続して行っているが、日没後潜水深度が800mほどへと急激に浅くなり、深夜に長時間の休息浮上時間が見られた。これらの特徴は、熊野灘での装着個体では見られないが、小笠原ではどの個体でも見られている。マッコウクジラの餌生物の密度や分布は年によって大きく変動し、それに伴いマッコウクジラは採餌行動パターンを変えていると考えられているが、上記の特徴は、採餌条件に関わらず小笠原の個体群に共通して見られる採餌行動の特徴と考えられる。特に夜間に浮上時間があることは、世界中のどの海域でも報告されておらず、この時間に社会行動が含まれることを考えると、この個体群がかなり特殊な行動パターンを持つ可能性が示唆される。今後、引き続きデータを収集して、このような地域による採餌潜水行動の差異が、何に基づいているのかを検討して行くことが必要である。また、ロガー装着個体を追尾しつつ、ハイドロフォンによりそのクリックの発声を録音した。このデータは、現在潜水プロファイルとつきあわせて解析中である。採餌行動に関連した発声パターンについて、重要な知見が得られるものと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Amano, M., Yoshioka, M., Mori, K.: "Sduty on diving behavior of sperm whales using suction cup attached TDR tag : an overview."Otsuchi Marine Science. 28. 1-5 (2003)
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[Publications] Amano, M., Yoshioka, M.: "Sperm whale diving behavior monitored using a suction-cup-attached TDR tag."Marine Ecology Progress Series. 258. 291-295 (2003)
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[Publications] Amano, M., Nakahara, F, Hayano, A., Shirakihara, K.: "Abundance estimate of finless porpoises off the Pacific coast of eastern Japan based on aerial surveys."Mammal Study. 28. 103-110 (2003)
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[Publications] Amano, M., Miyazaki, N.: "Composition of a school of Risso's dolphins, Grampus griseus."Marine Mammal Science. 20. 152-160 (2004)