2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンジカの個体群崩壊(大量死)の分子生態学的研究
Project/Area Number |
15570021
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
玉手 英利 山形大学, 理学部, 教授 (90163675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半澤 直人 山形大学, 理学部, 助教授 (40292411)
中内 祐二 山形大学, 理学部, 助手 (60250908)
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Keywords | ニホンジカ / 個体群 / マイクロサテライト / 遺伝的多様性 / 絶滅 / 分子生態学 / 金華山島 / 保護管理 |
Research Abstract |
本研究では、ニホンジカ(Cervus nippon)の個体群崩壊(大量死)が集団の遺伝的多様性に及ぼす影響を、分子生態学的手法を用いて明らかにすることを目標とした。 平成16年11月および平成17年3月に、宮城県牡鹿郡鮎川町の金華山島において、捕獲調査と個体数カウント(センサス)をおこなった。その結果、平成17年度3月には例年よりも多いニホンジカの死体が発見され、一部を回収した。死体および生体捕獲した個体から、組織、血液等を採取した。これまでに採取された約130個体の遺伝子試料について、マイクロサテライト9遺伝子座の多型解析をおこなった。その結果、金華山島の東部と北西部では、異なる対立遺伝子が検出され、一部の遺伝子座については、遺伝子頻度が有意に異なっていた。この結果は、金華山島内で、ニホンジカの群れに分集団構造があることを示唆している。これまでの大量死においては、神社を中心とする北西部の群れの死亡個体数は比較的に少ないことが明らかになっている。以上から、960ヘクタールほどの小さな島であっても、大量死は一様ではなく行動学的あるいは遺伝学的にわかれる分集団ごとに崩壊の程度が異なる可能性が示唆される(以上はACTA THERILOGICA, in press)。 大量死が遺伝的多様性に及ぼす影響をしらべるために、核遺伝子の遺伝的多様性を1997年大量死の以前の集団に属する個体からなるサンプル集団と、大量死以後に生存あるいは誕生した個体からなるサンプル集団で比較して、産仔数などの適応度指標と個体の遺伝的多様性(Individual heterozygosity)との相関を検討した。その結果、中立的な遺伝子では、遺伝的多様性と適応度指標に明確な相関は認められなかった。以上の結果から、金華山島の個体群では、くりかえされる大量死の結果として現在の環境変動に適応した遺伝的形質が選択されている可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)