2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの変異株を用いた花序形態、花茎伸長制御の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
15570027
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 卓 岡山大学, 理学部, 教授 (20271710)
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Keywords | シロイヌナズナ / ポリアミン / スペルミン / 花茎伸長 / サプレッサー変異 |
Research Abstract |
以前の研究で、シロイヌナズナの茎伸長欠損変異株ac15の原因遺伝子ACL5がスペルミン合成酵素をコードすることを示し、ポリアミンが植物の器官形態形成に重要な機能を持つことを実証した。しかし、その具体的な作用機構は明らかでない。本研究では、ac15変異株から茎伸長の回復した、いわゆるサプレッサー変異株を単離し、その分子遣伝学的解析をすすめて、茎伸長におけるスペルミンの作用機構を中心に植物の発生、分化過程におけるポリアミンの機能解明を目指した。 1)シロイヌナズナのゲノムにコードされているポリアミン合成酵素遺伝子のすべてについて解析をすすめ、それぞれの突然変異株を単離した。SPDS1,SPDS2両遺伝子の欠損変異株はそれぞれ正常に生育する一方、二重突然変異株は胚致死となり、スペルミジンが植物の生育に必須であることを証明した。他方、SPMS遺伝子についても欠損変異株を単離し、ACL5,SPMSの二重突然変異株はスペルミンを全く合成しないにもかかわらず、ac15の単独変異による茎伸長欠損以外は正常な表現型を示すことから、スペルミンは少なくとも通常の生育に必須ではないことを証明した。この結果からACL5遺伝子産物によって合成されるスペルミンは、SPMS遺伝子産物によって合成されるそれとは異なる細胞で機能するか、あるいは異なるスペルミン接合体形成に用いられる可能性が示唆された。 2)茎伸長におけるスペルミンの作用機構を明らかにするために、ac15の茎伸長が回復したサプレッサー変異株を複数単離し、それらの原因遺伝子の同定と相補実験による確認をすすめた。SAC51遺伝子は、その配列から転写因子をロードしていると予想されたが、転写領域にいわゆるupstream ORF(uORF)をもっており、変異はそのuORF内に見い出され、転写因子の翻訳効率が上昇して優性変異をもたらしていると考えられた。
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Research Products
(3 results)