2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合性脂溶性成分の抽出・再構成による光化学系I反応中心の機能の解析
Project/Area Number |
15570040
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池上 勇 帝京大学, 薬学部, 教授 (10082322)
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Keywords | 光合成 / 光化学系I / 光化学反応中心 / クロロフィル / P700 |
Research Abstract |
1.光化学系Iの反応中心(PsaA/B)には多数のChl a分子が結合し、アンテナ色素として働いている。ここから大多数のChl aを抽出したのち、本来反応中心に存在しないChl bを再添加すると、Chl a結合部位に再結合し、Chl aと同じく効率の良いアンテナとして働き得ることが明らかになっている。Chl a結合部位への結合親和性を調べるため、Chl bとともにChl aを様々な割合で加え、結合したChl a/b比を測定した。その結果、Chl bはChl aとほぼ同じ親和性を持ってChl a結合部位へ結合することがわかった。したがって、生体内で光化学系Iの反応中心(PsaA/B)にChl aしか結合していないのは、このアポタンパク質がクロロフィルを結合する際、Chl aしか存在しない場でこの反応が進行すると推定された。 2.Chl a生合成にかかわる酵素の遺伝子操作により、Chl aがほとんどdivinyl Chl aに置き換わったシロイヌナズナが得られている。この葉緑体膜片からアンテナ色素のほとんどを抽出し、P700が色素的にかなり濃縮された標品を得た。この標品のP700光酸化活性や色素分析からP700もdivinyl Chl aから構成されていると推定される結果を得た。現在、この反応中心の活性が通常とどう違うかの解析を進めている。 3.クロレラを高濃度亜鉛培地で育てることにより、Zn-Chl aが形成され、これがアンテナとして働くことがわかってきた。このZn-Chl aが葉緑体膜中のどこに局在するかを調べた。その結果、光化学系IおよびIIの反応中心タンパク質により特異的に結合していることが明らかになった。特に光化学系Iでは、P700の直前で光エネルギーのsinkとして働く長波長クロロフィルの立体構造の構築がZn-Chl aによって妨害されることから、Zn-Chl aはP700のごく近傍に結合しているものと推定された。
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Research Products
(5 results)