2004 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸カルシウム結晶から貝殻が種特異的に構築されるメカニズムの解明
Project/Area Number |
15570055
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮本 裕史 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (20271413)
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Keywords | マガキ / グリシンリッチタンパク質 / 外套膜 / 貝殻 |
Research Abstract |
無脊椎動物の骨格として典型的な貝殻は、種を同定するための重要な指標とされることからも明らかなように、生物がつくりだす遺伝的に規定された構造物である。ところが、この貝殻、生物によってつくり出されることは間違いないのだが、生物的でない特徴を有している。軟体動物の外套膜と呼ばれる組織の働きにより形成されるのにもかかわらず、その成分の大部分を無機物である炭酸カルシウムが占めているのである。したがって、貝殻の成長は、炭酸カルシウム結晶の無機的なエピタキシャル成長に依っている部分があると考えられるが、当然のことながら、それだけでは貝殻の種特異的な形成を説明することはできない。何か生物的な要素が絡んでいると考えられる。そこで、注目すべきは、貝殻の中に含まれるタンパク質成分であり、これらのタンパク質は外套膜から分泌されることが分かっている。本研究は、以上の観点より、外套膜で発現する遺伝子を解析することにより貝殻形成の分子機構の全体像に迫ることを目的としており、本年度はマガキの外套膜で特異的で発現する遺伝子としてNo.68およびNo.223に着目し、そのcDNAの全長の塩基配列を決定した。 その結果、No.68は、214アミノ酸をコードし、グリシン含量が21%であった。No.223に関しては、431アミノ酸からなる配列をコードし、グリシン含量が21%であった。これら二つの特徴的なアミノ酸配列をコードするcDNAクローンに関して、大腸菌内で組換えタンパク質を作製した。組換えタンパク質を精製後、Calcium carbonate precipitation assayにより、炭酸カルシウム結晶形成に対する効果を検討したところ、これら二つの組換えタンパク質は、炭酸カルシウム結晶形成に対して抑制的な働きをもつことが示された。また、マガキ外套膜で単離した遺伝子に関して、アコヤガイ外套膜で報告された遺伝子配列と比較を行うために、アコヤガイ外套膜で発現する遺伝子のクラスタリング解析を行った。
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Research Products
(3 results)