2004 Fiscal Year Annual Research Report
松果体紫外光受容細胞の特性および機能解明-分子から個体レベルまでの解明-
Project/Area Number |
15570063
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
保 智己 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (60188448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 正 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (30112098)
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Keywords | 松果体 / 光受容細胞 / 視物質 / 紫外光 / 円口類 / 光再生 / パラピノプシン / 光感受性蛋白質 |
Research Abstract |
昨年度の研究によりヤツメウナギ松果体にはパラピノプシングループの属する光再生を行う光感受性蛋白質が存在し、この蛋白質は紫外光に感受性が高いことが分子レベルで明らかとなった。さらにこのパラピノプシンを含む細胞が紫外光受容細胞であることを電気生理学的手法と免疫組織化学手法によって、細胞レベルでも確認された。 光感覚性松果体には光応答特性の異なる2種類の神経節細胞が存在する。非感色性応答と感色性応答の2種類である。前者はすべての可視光域の波長において、活動電位の抑制を示す。後者は紫外光照射では抑制、中-長波長光では興奮性を示す応答である。紫外光受容細胞はこの内の感色性応答に関与している。本年度においては、この紫外光受容細胞が関与する感色性応答の神経機構を明らかにするために必要不可欠である高感度の抗体を作製することにした。作製された抗体は多量の光感受性蛋白質を含む外節部だけでなく、細胞体や基底突起までも標識できた。この抗体を用いた研究から、紫外光受容細胞は通常のロドプシン陽性細胞に比べて、長い基底突起を有していた。さらに隣接する細胞とこの基底突起によって接触していることが明らかなった。このことから紫外光受容細胞は互いに神経連絡していることが示唆された。電気生理学的に紫外光受容細胞であることを確認した後に細胞トレーサーを電気泳動的に細胞内に注入する実験を行った。その結果から基底突起間の接触はギャップ結合によるものであることが明らかとなった。さらに個体レベルでの紫外光受容細胞の機能を調べるために、感色性応答の生体への関与を明らかにすることを試みた。感色性応答はその応答特性から紫外光と可視光の割合を検出していると考えられる。そこで紫外光と可視光の割合を変化させ、ヤツメウナギへの影響を調べた。その結果、割合の変化はヤツメウナギの遊泳活動へ影響することが示唆された。
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Research Products
(3 results)