Research Abstract |
1.次のような日程で成虫および幼虫の採集を目的とした調査をおこない,多くの研究材料を得た.1)平成18年5月2日-8日,岡山県岡山市ならびに愛媛県宇和島,2)6月20日-7月2日,北海道定山渓ほか,3)7月12-13日、長野県菅平,4)8月9日-11日,17-18日,9月1-2日,長野県志賀高原,5)9月29-30日,兵庫県六甲山. 2.北海道および本州に産するワモンヒラタハバチが東京港区の自然教育園に生息することを確認し,これまで未知であった寄主植物ならびに幼生期の生態と造巣習性を記録した.東京23区内でヒラタハバチ類が発見されるのは実に67年ぶりのことである. 3.これまで日本から1例しか記録のなかったヒメハラアカヒラタハバチの日本における新しい採集記録を総括し,飼育に基づいて,アジアで初めて寄主植物を確認し,造巣習性を記録した. 4.ヨーロッパおよびアジアの23の博物館,大学等に所蔵される約2600個体の標本をもとに世界のカエデヒラタハバチ種群を再検討して,東アジアに7種を認め,うち中国産の1種を新種として記載・命名した.また,これら7種の系統関係を推定し,分布について論じた. 5.ドイツ昆虫研究所,国立科学博物館ほか7研究機関のヒラタハバチ科所蔵標本をもとに,ロシア極東産のヒラタハバチ1種を新種として記載・命名し,15種の採集データを記録した.このうち8種についてはロシア極東部各地および韓国から初めての記録であった. 6.中国科学院林業科学研究所のヒラタハバチ科所蔵標本をもとに,中国から4新種を記載・命名し,4種を新たに中国から記録した.
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