2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロリルエンドペプチダーゼおよび阻害剤複合体のX線結晶構造解析
Project/Area Number |
15570095
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 孝雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (80243731)
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Keywords | プロリルエンドペプチダーゼ / 溶解度曲線 / ストリーク・シーディング / X線結晶構造解析 / 分子置換法 / 阻害剤-酵素複合体 |
Research Abstract |
プロリルエンドペプチダーゼ(PEPase)は、プロリン残基のC末端側を特異的に切断する酵素であり、特に脳内に分布し、アミロイドA4前駆体タンパク代謝に関与しアルツハイマー病の原因究明の点からも注目されている。そこで基質認識機構の解明を目的としてX線解析に着手した。第一の到達目標は、ストリーク・シーディングを利用した結晶化法を採用し,高品位な結晶を作製し、結晶を高分解能に回折させる。結晶の溶解度曲線は、結晶化点(もしくは領域)を実用面で単結晶を再現性良く得るだけでなく、理論面では結晶成長制御機構の構築も、副次的な目標である。そこで、沈殿曲線を作成し、結晶の核形成領域と準安定領域を実験的に決定した。核形成領域は非常に狭く、実質的に結晶化の再現性は低いことが予想された。しかしながら、広い準安定領域が存在したので、それを活用することにした。ここは核を形成しないので、自発的に結晶化は起こらない。キャットウィスカーのような動物の体毛で、人為的に結晶の核形成を促進する手法を採用し、結晶を1週間以内に再現性良く得ることが出来るようになった。格子欠陥が入らないので良好な結晶であると期待された。結晶学的データは、空間群P4_1、格子定数はa=b=93.17Å,c=169.02Å、分解能は、3.2Å得られた。豚筋肉由来の構造を分子置換法で解くことに成功し、精密化が進行中であるが、R=25.7%である。触媒ドメインと非触媒ドメインに大別され、前者は、α/βフォールドをとり、ジスルフィド結合により安定化されていた。それに対し、後者は、βプロペラが4つずつの7ドメインからなり、その外側の揺らぎが大きく、分解能が低減している一因となっている。今後、阻害剤を結合させた複合体分子や非触媒部位に突然変異部位を導入・揺らぎの大きい部位を欠失させたりして、本酵素および複合体の高分解能の立体構造解析を進める予定である。
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