2003 Fiscal Year Annual Research Report
受容体型チロシンキナーゼによる血管内皮細胞・平滑筋細胞分化の分子機構
Project/Area Number |
15570110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮澤 恵二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40209896)
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Keywords | チロシンキナーゼ / 血管内皮細胞 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
マウスES細胞をType IVコラーゲンディッシュ上、LIF非存在下での培養により得られたFLK1+細胞を用いて、血管細胞分化へのFGF-2の影響を検討した。 FGF-2で処理した細胞群は45%がPECAM1陽性の血管内皮細胞へ、20%がSMA陽性の平滑筋細胞へ残りの35%はどちらの分化マーカーについても陰性のままであった。したがって、FGF-2はFlk1+細胞を単一の細胞系列へと分化させるわけではないことがわかった。また、このFGF-2の作用はFGF受容体1(FGFR1)を介していることをつきとめた。 ついで、VEGF-AとFGF-2による共刺激の効果を検討した。VEGF-A単独刺激では内皮細胞のみが分化してくるのに対し、VEGF-A/FGF-2共刺激では5%ほどの頻度で平滑筋細胞も分化してくることがわかった。また、分化した平滑筋細胞は内皮細胞シートに接着しており、細胞間で情報交換がおこなわれている可能性が示唆された。VEGF-A/FGF-2処理細胞からRNAを抽出して遺伝子発現の状態を検討したところ、この情報交換を担っている分子の実体がPDGF-BBであること、FGF-2はPDGF受容体を発現誘導することにより血管細胞の分化を修飾していることを見いだした。 更に、マウス皮下に移植したマトリゲルにより血管新生を検討し、FGF-2による血管新生にはPDGF受容体からのシグナル伝達が必須であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)