2004 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞表面におけるインフルエンザウイルス感染行動の解析
Project/Area Number |
15570140
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
堺 立也 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00309543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 正信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80107185)
平田 芳樹 産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 主任研究員 (10357858)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 感染行動解析 / プロファイリング / トリインフルエンザウイルス / 新型インフルエンザウイルス / ウイルス行動科学 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの感染行動のプロファイリングとメカニズムに関する研究をおこない,新型インフルエンザウイルス出現の機構に関する新たな知見を得た. インフルエンザウイルスが宿主細胞に感染するためには,細胞にエンドサイトーシスされなければならない.エンドサイトーシスの領域は細胞表面の限られた領域でしか起きないため,ウイルスはその領域まで移動する必要がある.従来ウイルスには運動能力はないと考えられていた.しかし本研究により,ウイルスには0.2μm以下の小刻みな運動(ローリング)と1μm程度の運動(スライディング)で細胞表面を移動する能力があることがわかった.本研究ではさらに,ヒトインフルエンザウイルスとトリインフルエンザウイルスについて感染行動のパターンを分類(プロファイリング)したところトリウイルスに比べヒトウイルスではスライディングの頻度が10〜20倍増加していることが分かった.ところで,トリウイルスが腸管感染であるのに対しヒトウイルスは呼吸器感染である.呼吸器表面の形態からみて,ヒトウイルスはトリウイルスに比べ比較的短時間のうちに長い距離を移動しなければならない.ヒトウイルスがスライディングを多用することは,ヒトウイルス感染の組織特異性を極めてよく説明している. 近年その出現が危惧される新型インフルエンザウイルスは,トリインフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)やノイラミニダーゼ(NA)を獲得したヒトウイルスが,HA・NAの変異によりヒトへの高い感染性を獲得したものと考えられている.本研究の成果は,トリ型HA・NAの変異によりウイルスの感染行動がローリング型からスライディング型へと変化することでヒトへの感染性を獲得することを示唆しており,新型ウイルス出現のメカニズムを説明すると同時に,新型ウイルスへの対処法の可能性をふくむものである.
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