2004 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン系細胞骨格の細胞内不均等局在は如何にして生じるか:細胞極性生成機構を探る
Project/Area Number |
15570153
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石川 良樹 群馬大学, 医学系研究科, 講師 (20212863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小浜 一弘 群馬大学, 医学系研究科, 教授 (30101116)
熊谷 啓之 群馬大学, 医学系研究科, 助手 (20321945)
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Keywords | アクチン / トロポミオシン / アクチン結合蛋白質 |
Research Abstract |
我々は昨年度、ストレスファイバー・接着斑・ラメリポディア・フィロポディアが1個の細胞に共存するNg108-15細胞を用いて、特定のアクチン構造に集積するアクチン結合蛋白質の分布解析を行った。その結果、EGFP-ファシンはフイロポディアに局在、EGFP-カルデスモン、EGFP-非筋型トロポミオシンはフィロポディアとストレスファイバーに局在、EGFP-平滑筋型トロポミオシンはストレスファイバーに局在、EGFP-ドレブリンはフィロポディアの基部と接着斑に局在することが明らかになった。そこで今年度、ドレブリンとカルデスモン・ファシンの局在が異なる理由を探るため、ドレブリンの発現蛋白質を得て生化学的解析を行い、トロポミオシン、カルデスモン、ファシンとの関連を調べた。 ドレブリンはアクチン4分子にドレブリン1分子の割合で、アクチン線維にストイキオメトリカルに結合した。さらにカルデスモンのアクチン結合を70%阻害した。この阻害効果はトロポミオシンで促進された。カルデスモンは、N-WASPとArp2/3によるプラス端アクチン重合促進を阻害する事から、これらの因子を介してドレブリンがアクチン重合の極性を調節している可能性が示唆される。また、ドレブリンはミオシンVのアクチン活性化ATPase活性を60%阻害したが、アクチン滑り速度には影響を及ぼさなかった。このことは、ドレブリンを結合したアクチンレール上では少ないエネルギーで長い距離滑り運動が出来る事を示唆しており、アクチンの運動極性の制御に関わっていると考えられる。 以上の結果、及び我々が以前示したドレブリンとファシンの競合的アクチン結合、ファシンとトロポミオシン・カルデスモンの競合的アクチン結合の結果より、主要なアクチン結合蛋白質が同時にアクチン線維上に共存できず、そのためにアクチン構造の棲み分けが生じて細胞極性が形成されるという可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)