2004 Fiscal Year Annual Research Report
固体NMR法による脂質膜表面における信号伝達系蛋白質の機能発現メカニズムの解析
Project/Area Number |
15570164
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
辻 暁 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教授 (60227387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 悟 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (20347529)
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Keywords | 固体NMR / ホスホリパーゼC / PHドメイン / 信号伝達系 / 脂質二重膜 / 生体膜 / 膜表在性蛋白質 / 立体構造 |
Research Abstract |
固体NMR測定のためのプローブとして、前年度までの研究で用いてきた^<13>C標識アラニンおよびプロリン残基に加えて、新たに^<13>C標識チロシン、トリプトファンおよびフェニルアラニン残基をPLC-δ1 PHドメイン中に生合成的に導入した。チロシンおよびトリプトファンの固体^<13>C NMRスペクトルより、脂質膜上に局在したPLC-δ1 PHドメインについて、脂質膜への結合による蛋白質構造の変化が両親媒性α-ヘリックスを含むβ5/β6ループを含む限定された領域で起きていることが見いだされた。また、脂質膜表面で誘起されるこのような蛋白質立体構造変化は、脂質膜の脂質組成により大きく影響を受けることが見いだされた。脂質膜中に負の電荷を持つホスファチジルセリンが20%存在するとき、脂質膜上におけるPLC-δ1 PHドメインの立体構造は、中性膜結合時に見られる立体構造を失い、水溶液中の構造に近い構造をとるようになる。この構造変化は脂質膜-PHドメイン間の静電的相互作用に由来することが、塩の添加による膜電荷の遮蔽の影響の解析から見いだされた。また、ホスファチジルセリン、コレステロールの添加は脂質膜上におけるPHドメインの運動性を大きく増加させることが分かった。脂質膜組成に依存するPLC-δ1 PHドメインの立体構造および運動状態の変化は、PLC-δ1のような脂質膜結合性の蛋白質の脂質膜上における構造および配向が、脂質膜ドメインの形成、細胞のアポトーシス等による膜脂質の分布の変化に応答して変化しうることを示唆している。さらに、複数のドメインの共存する系として、PLC-δ1 PHドメイン-EF-handドメインに^<13>C標識アミノ酸を導入し、固体NMRによる脂質膜上における構造の解析を行ったところ、脂質膜上で水溶液中と異なるPHドメイン-EF-handドメイン間の相互作用が見いだした。
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Research Products
(1 results)