2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570175
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹島 一仁 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (20126874)
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Keywords | エレクトロポレーション / 遺伝子導入 / 胚発生 / アフリカツメガエル / 日本産イモリ / 頭部形成 / 体軸形成 / 形態形成 |
Research Abstract |
アフリカツメガエル神経板期胚の予定眼領域へ改変遺伝子または合成mRNAを高効率導入する方法として非接触エレクトロポレーション法を開発し形態形成研究を進めて来た(Genesis 33,81-85 and 86-96,2002)。この方法を眼以外の色々な組織・器官(耳、鯉、セメント腺、筋肉、肢芽など)に応用拡大し、イモリ胚への適用にも成功した。 今回、より若い初期原腸胚のオーガナイザー領域への遺伝子導入を目指し、卵膜に核酸液を微注入するなどの改良を行い巨大で脆弱な原口上唇部細胞へのmRNAおよびプラスミドの高効率導入に成功した。GFPタンパクの発現はエレクトロポレーション後2-3時間で検出可能で、その後12時間でその発現ピークを迎える。BMP4をオーガナイザー領域で異所発現させると頭部中枢神経系の形成が阻害された。また、ステージ14期胚の神経隆起域にBMP4mRNAを導入すると特定の神経堤細胞群の移動が抑制された。同様の操作を日本産イモリに対して行ったところ、神経堤細胞の移動阻害の結果、鯉の形成がBMP4mRNA導入体側で完全に抑えられた。さらに、BMPに対する拮抗因子であるNogginを導入した結果、頭部巨大化の予想に反して、尾部矮小化あるいは形態形成不全が観察された。現在、シグナル伝達の観点からFGFやレチノイン酸受容体改変遺伝子の導入とその効果の検討を進め、頭尾体軸の後方化や頭端部構造の欠失といった興味ある現象を観察している。 この様に我々が開発・改良してきた高効率非接触エレクトロポレーション法による両生類胚への遺伝子導入は、発生過程における経時・領域特異的な発現昂進、発現抑制研究に不可欠の方法で、他の発生学への貢献度も高い。さらに、基本形態形成過程での細胞系譜解析にも強力な手段になることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)