2004 Fiscal Year Annual Research Report
頚部神経堤細胞の移動・分化を制御するHoxa3遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
15570177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千坂 修 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (80188474)
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Keywords | Hoxa3 / 舌咽神経 / 神経堤 / 上鰓プラコード / アンチセンスモルフォリノオリゴ |
Research Abstract |
頚部神経堤細胞、特に舌咽神経上神経節細胞前駆体の適切な体側部への移動を制御するHoxa3遺伝子の機能を詳細に解析した。舌咽神経は2種の感覚神経(神経堤由来と上鰓プラコード由来)および1種の運動神経から構成される。マウスHoxa3変異体胎仔では前駆体である神経堤、上鰓プラコード双方の移動が阻害されていた。本研究では胚操作の容易なニワトリ胚を用いて、神経管/神経堤ないしは上鰓プラコードのみでのニワトリHoxa3の発現を、アンチセンスモルフォリノオリゴを用いて阻害し、これらの細胞間で相互作用があるかどうか検討した。その結果、どちらの細胞でもHoxa3の機能が阻害されると上鰓プラコード細胞の背側への移動が阻害された。従って、これら両細胞中でのHoxa3遺伝子の発現が重要であることが示された。また、この研究の過程で、Hoxa3遺伝子の発現領域はこれまで知られていたよりも頭側に、弱いながらも観察された。これは所謂Hoxコードの及ばないと考えられて来た前頭部の形態形成や機能成熟にHoxa3が重要である可能性を示唆しており、重要である。これらの成果は論文として投稿中である。 また、第3鰓弓間充織に移動するHoxa3を発現する神経堤細に関しても、Hoxa3変異マウスでは移動はするが、増殖率が低いこと、神経堤由来の内皮を持つ第3鰓弓動脈が退縮することを示した。すなわちHoxa3は神経堤由来細胞の増殖と分化双方に働くことを示した。これらの結果は論文として発表した。
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