2006 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエのヒストン遺伝子における協調進化のメカニズムの解明
Project/Area Number |
15570186
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 義則 徳島大学, 総合科学部, 教授 (80219401)
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Keywords | ショウジョウバエ / ヒストン遺伝子 / 協調進化 / GC含量 / 自然選択 / 集団の大きさ |
Research Abstract |
ゲノム進化における突然変異、自然選択、浮動等の進化的要因の役割とこれらの生物進化における貢献度を明らかにし、DNAレベルでの適応進化のメカニズムを解明するために、さまざまなショウジョウバエ種のヒストン遺伝子に起こっている進化的変化を調べ、協調進化に働いている要因とその役割を明らかにするのが目的であった。 平成18年度は、研究計画の最後の年であるので、進行中であったD.immigransのヒストン遺伝子の解析を完結させることと、成果を発表し、まとめる作業が中心となった。 進化的に離れたショウジョウバエ種の解析の一部としてD.immigransからのH3とH4遺伝子領域を除くヒストン遺伝子繰り返しユニットをクローニングし、DNA塩基配列を決定した。また、協調進化の度合いを調べるために繰り返しユニットコピー間の遺伝的違いも推定した。これまでの結果も合わせて次のようなことがわかった。ショウジョウバエヒストン遺伝子のコドンの3番目のGC含量は種間で差がみられ、この種間の違いはどのヒストン遺伝子にも同じような傾向であった。突然変異の偏りの影響が大きいと思われる3‘領域やスペーサーでは種間の差があまりみられなかった。これらの結果より、進化的要因の可能性として突然変異の偏りよりも自然選択が中心的であると考えられ、種間で異なるGC含量は、働く自然選択の大きさが集団の大きさによる影響を受けて異なっていると考えられる。ヒストン遺伝子領域の協調進化のメカニズムの一部がこの選択で説明できると思われるが協調進化全体における貢献度についてはまだ調べてみる必要がある。これまでの成果をまとめて英文総説に発表することができたが(Matsuo 2007)、さらに結論の一般性を調査するためにヒストン遺伝子以外の遺伝子やゲノム領域の様子を調べるための実験を開始している。
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Research Products
(1 results)