2004 Fiscal Year Annual Research Report
Saccharomyces属酵母の種形成における性分化遺伝子進化の組織的研究
Project/Area Number |
15570190
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
久冨 泰資 福山大学, 生命工学部, 助教授 (20208763)
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Keywords | Saccharomyces属酵母 / 種形成 / 性分化遺伝子 / 進化 / 性的隔離 / 分子系統 / 種多様性 / 細胞認識 |
Research Abstract |
本研究では、Saccharomyces属酵母における種の形成機構について、性的細胞認識を支配する性分化遺伝子群の進化の面から明らかにする。遺伝子発現制御の観点から見ると、性分化遺伝子ファミリーは3つの階層のヒエラルキーを形成する。最下層には、実際に性的細胞認識に関与する性的凝集素や性フェロモン及びそのレセプターなどの構造遺伝子群があり、その上の階層にはこれらの構造遺伝子の発現を制御することで性を表現する接合型遺伝子がある。さらに、最上層には接合型の転換を支配しているホモタリズム遺伝子が君臨する。これらの調節順位のヒエラルキーと各階層に属する性分化遺伝子の進化速度との間に密接な相関関係があるのかどうかを明らかにする。つまり、性分化遺伝子ファミリーに関して、進化の過程での選択圧を測定して数値化する。その上で、性分化遺伝子ファミリーの進化的階層性が性的細胞認識のシフトをもたらし、性的隔離へと至る機構を解明する。 平成15・16年度の2年間にわたる研究により、次に記す3項目の研究成果を得たので、ここに公表する。第一に、S.naganishiiからα接合型が分泌する性フェロモン(αフェロモン)の構造遺伝子を単離し、パン酵母S.cerevisiaeのそれとの比較解析を行った。その結果、コード領域はほぼ同じような構造を示したが、発現調節領域には種多様性が生じていることが明らかとなった。第二に、S.paradoxusのホモタリック基準株からホモタリズム遺伝子を単離し、その構造をS.cerevisiaeのそれと比較解析した。その結果、コード領域と発現調節領域が共進化していることが明らかとなった。第三に、S.naganishiiにおいてGAL遺伝子群の染色体上配置を調べたところ、これまでに研究されている他の出芽酵母の場合とは異なって、GALIO遺伝子がクラスターからはずれて転座していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)