2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯の非齲蝕性硬組織欠損(楔状欠損)と下顎隆起の成因に関する総合的研究
Project/Area Number |
15570198
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60277473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松江 美代子 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (70165265)
清水 武彦 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (40328761)
金澤 英作 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050648)
近藤 信太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (60186848)
山下 真幸 獨協医科大学, 医学部, 助手 (80255009)
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Keywords | 下顎隆起 / 縄文時代人 / 鎌倉時代人 / 近代日本人 / 現代人歯科患者 / 現代人大学生 / 環境因子 |
Research Abstract |
下顎隆起の出現状況を、縄文時代人骨、鎌倉時代人骨、近代日本人骨、現代人大学生歯列石膏模型、現代人歯科患者歯列石膏模型において調べた。観察項目は、下顎隆起の出現頻度と出現位置、さらに、下顎隆起の出現状況に影響する環境要因と考えられている咀嚼力の指標としての、歯の本数、叢生の程度、歯の咬耗の程度である。その結果、下顎隆起の出現頻度は、縄文時代人で最も高く、次いで現代人歯科患者、現代人大学生、近代日本人の順に高く、鎌倉時代人で最も低かった。下顎隆起の出現位置は、縄文時代人においてのみ、他の集団と異なる傾向が見られた。歯の咬耗は、縄文時代人で最も程度が高く、次いで鎌倉時代人、近代日本人の順に高く、現代人歯科患者および現代人大学生で最も低かった。歯の本数は、現代人大学生で最も多く、次いで現代人歯科患者、鎌倉時代人、近代日本人の順に多く、縄文時代人において最も少なかった。叢生の程度は、現代人大学生で最も高く、次いで現代人歯科患者、近代日本人、鎌倉時代人の順に多く、縄文時代人で最も低かった。縄文時代人では、下顎隆起の発達程度と歯の本数の間に正の相関が見られ、鎌倉時代人では、歯の咬耗の程度との正の間に相関が見られ、近代日本人では、歯の本数との間に正の相関が見られ、現代人歯科患者では、歯の本数および歯の咬耗の程度との間に正の関係が見られ、現代人大学生では、咬耗の程度との間に正の相関が見られた。これらのことから、下顎隆起の発達程度と歯の本数および咬耗の程度には正の関係があることが示唆でき、したがって、歯の咬耗量の多い縄文人集団と歯の本数の多い現代人集団において、下顎隆起の発達した個体が多い結果となったと考えられる。
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Research Products
(4 results)