2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞融合によるArabidopsisゲノムとその情報の育種学的利用
Project/Area Number |
15580009
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山岸 博 京都産業大学, 工学部, 教授 (10210345)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中崎 鉄也 京都大学, 農学部, 助手 (60217693)
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
|
Keywords | Arabidopsis / ダイコン / キャベツ / 細胞融合 / ゲノム情報 |
Research Abstract |
本研究は、植物で最初に全てのゲノム情報が解読されたシロイヌナズナを用い、食用、油料用等として世界的に極めて重要な位置を占めるアブラナ科作物との間で体細胞雑種を得ることおよび得られた体細胞雑種を育種的に利用することを目的としている。本年はシロイヌナズナとダイコンとの体細胞雑種を多数作出し、それらの核ならびにオルガネラのゲノム構造を調査すると共に、シロイヌナズナとキャベツとの間でも体細胞雑種を得た。いずれの体細胞雑種も世界に先例がない。 シロイヌナズナとオグラ型雄性不稔細胞質を持つダイコンの間でPEGを用いて融合処理をした後、プロトプラストを培養した。発達したカルスからのシュートの再分化率は7.6%で、41個体の植物が得られた。そのうち11個体が形態的観察及び核、オルガネラゲノムの分子遺伝学的解析から、シロイヌナズナとダイコンの体細胞雑種であると判定された。体細胞雑種は、核のPgi-C遺伝子、Tpi遺伝子に関するPCRの結果、いずれの遺伝子についても雑種性を示した。また半数の個体は両親の染色体数の和(2n=28)の染色体を有していたが、それより少ない染色体数の個体も存在した。一方葉緑体のゲノムに関しては、すべての個体がダイコンと同一のパターンを示した。更にミトコンドリアの遺伝子については、調査した5つの遺伝子領域で様々な組合せのパターンが認められた。このうちダイコンが持つ雄性不稔遺伝子(orf138)の有無には雑種個体間で差が認められたが、この遺伝子を持たない個体も雄性不稔性を示した。 これとは別に、シロイヌナズナとキャベツとの体細胞雑種を得た。それらの雑種性は核遺伝子の解析によって確認された。現在更に分子遺伝学的解析を進めるとともに、開花個体の稔性調査を進めている。
|
-
[Publications] 山岸 博: "キャベツとシロイヌナズナの体細胞雑種の作出"園芸学会雑誌. 73(別冊2)(印刷中). (2004)
-
[Publications] Yamagishi, H.: "Differentiations of the cytoplasm of Japanese cultivated radishes (Raphanus sativus) into four types in the 3' region of mitochondrial atp6"Breeding Science. 54(印刷中). (2004)
-
[Publications] Yamagishi, H.: "Somatic Hybrids between Arabidopsis thaliana and Cabbage (Brassica oleracea)"Journal of the Japanese Society for Horticultural Science. 73(印刷中). (2004)
-
[Publications] Yamagishi, H.: "Assessment of cytoplasmic polymorphisms by PCR-RFLP of the mitochondrial orfB region in wild and cultivated radishes (Raphanus)"Plant Breeding. 123(印刷中). (2004)
-
[Publications] 山岸 博: "シロイヌナズナを用いた体細胞雑種におけるオルガネラゲノム"育種学研究. 5(別冊2). 38-39 (2003)
-
[Publications] Yamagishi, H.: "Somatic hybrids between Arabidopsis thaliana and cytoplasmic male-sterile radish (Raphanus sativus)"Plant Cell Reports. 22. 52-58 (2003)