2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580021
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大井 美知男 信州大学, 農学部, 教授 (80167296)
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Keywords | アブラナ科野菜 / 在来種 / 自家採種 / 自家不和合性 / 春化 / 低温感応 |
Research Abstract |
長野県在来カブ品種'王滝蕪'を対象とした.'王滝蕪'は木曽郡王滝村に残る在来種で,王滝村15集落の65軒で自家採種されている.現存するアブラナ科野菜在来種にあっては,全国的にみても採種者数の突出した品種である.在来種の成立や維持,系統分化などについて調査するには,貴重な事例と考える.平成15年5月,自家採種の状況を調査した.その結果,採種地はいずれの場合も管理しやすい自宅近辺の圃場で,互いに近接し合っていた.また,採種規模はいずれも小規模で,採種母本はおよそ10から50本で,30本前後の場合が最も多かった.平成15年9月に,村内より収集した65系統を村内圃場に播種した.播種後収穫まで,農林水産省品種登録要領の特性表に基づき特性調査を行った.その結果をもとにクラスター分析をしたところ,大きく4グループに分類された.4グループのそれぞれに含まれる系統は必ずしも地理的に近い関係にあるわけではなく,同一集落内でも異なるグループに分類されることも多々認められた.この特性調査と春に行った自家採種の状況調査から,'王滝蕪'は自家不和合性が比較的弱い品種であると推察された.自家不和合性の各系統の検定は平成16年春に蛍光顕微鏡下で行う予定である.また,長野県在来カブ品種の多くは比較的晩抽性であるので,'王滝蕪'の65系統について,種子春化処理して抽だいに対する低温感応を調査した.その結果,供試した65系統のうち6系統で不抽だいとなり,14系統で抽だいと不抽だい個体が混在した.その他の系統はすべて抽だいした.このように,おそらく選抜の対象となっていない形質についても,系統間差が認められた.低温感応性については,16年度も継続して調査する予定である.
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