2003 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧山野草ユキモチソウの繁殖及び生育開花生理の解明
Project/Area Number |
15580024
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
長谷川 あつし 香川大学, 農学部附属農場, 教授 (70036044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 剛 香川大学, 農学部, 助教授 (70346633)
深井 誠一 香川大学, 農学部, 教授 (80228858)
|
Keywords | ユキモチソウ / 絶滅危惧種 / 休眠打破 / 花芽分化 / 光合成 / 性表現 |
Research Abstract |
低温に十分遭遇した小球の発芽適温は,20℃であった.休眠打破に必要な低温要求量は,10月で4℃,60日以上,11月では30日以上であり,低温が満たされていると適温下で40日程度で発芽に至った.開花時の地上部は6枚の鞘葉と2枚の本葉と花で構成されていた.この時球内のノーズは約7枚の葉で構成され生長点は栄養状態であった.5月にはノーズは8枚の葉と包葉で構成され花芽分化を開始した.6-7月には包の内部は徐々に肥大し付属体の原基となった.早いものでは8月下旬には小花原基の分化が認めれ,その後も小花原基の分化と発達は大きな個体間差を示しながらゆっくりと進み11月にかけてほぼ小花原基の分化が終了した.小花原基は始め丸い突起として現れ,雌性小花では,その後周辺部が盛り上がってドーナツ状を呈し,まもなくその底の部分に胚珠原基が出現した(基底胎座).その後さらに周縁部が盛り上がり,開口部が閉じその先端部分が柱頭となった.一方雄性小花では丸い突起が不整形となり,10月には頂部が徐々に2-3のひだ状にわかれ,その後ひだの先端が肥厚して葯となった.雌性,雄性ともに小花は花被を欠いた.球内の新シュートにおいて花芽形成が起きた6月にその新シュートの第2本葉の腋芽が葉原基1-2枚を形成し翌々年のシュートとして始発し,12月までに3枚の葉原基を分化した.この事からユキモチソウは2年サイクルの仮軸分枝型の生長をしていることが明らかとなった.またユキモチソウは弱光に適応的である一方で,光合成の光阻害を受けやすかった.小サイズの個体は貯蔵器官へのバイオマス分配を維持し,次年の成長と開花・結実に備えていた.相対光量子密度15%前後が生育に適した光強度であると考えられた.自生地における個体群の開花株の大部分はオスの性表現をし,メス/オス比は,0.17-0.11であった.一方,栽培下では多くの個体がメス化した.
|