2004 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧山野草ユキモチソウの繁殖及び生育開花生理の解明
Project/Area Number |
15580024
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
長谷川 あつし 香川大学, 農学部, 教授 (70036044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 誠一 香川大学, 農学部, 教授 (80228858)
小林 剛 香川大学, 農学部, 助教授 (70346633)
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Keywords | ユキモチソウ / 絶滅危惧種 / 光合成 / 休眠打破 |
Research Abstract |
ユキモチソウは前年に蓄積した貯蔵物質を用いて地上部を展開する.人工被陰下での3年間にわたる成長モニタリングから,前年度の生育光強度が当年の成長量に影響を及ぼすことが明らかとなった.すなわち,前年度よりも光強度を減じて生育させた場合では,成長量(1年間あたりの乾物増加)は減退する傾向がみられた.また,2年間にわたり連続して強光条件で生育させた場合においても,成長量は減退する傾向にあった.これに対し,2年間にわたり連続して弱光条件で生育させた場合では,成長量は維持されやすい傾向にあった.栄養成長段階あるいは雄性段階の個体では,光強度が約4%のとき成長量は最も維持されやすかった.しかし,開花・結実を行う雌個体では,光強度にかかわらず成長量は小さかった.人工強制受粉処理により結実量を制御した場合,結実を強いられた雌個体の成長は著しく制限され,成長量は負になるに至った.成長量の経年減退が見られる個体では,個体の性表現も雌から雄,あるいは雄から無性へと生育段階が「逆戻り」する傾向があった.以上の結果から,1)ユキモチソウの持続的な成長・開花の維持には強度の被陰が重要である,2)光強度の変化に対するユキモチソウの適応には数年にわたる順化期間を要する,3)ユキモチソウの種子生産は個体の成長バランスを失わせやすい,ということが示唆された.野外生育地や園芸生産においては注意深い管理が必要なものと考えられた. 開花サイズのユキモチソウ球茎は,自然低温遭遇後の12月15日以降に加温すると2月中旬より揃って開花した.また11月15日から4℃30日の低温処理後加温することにより,1月下旬より開花させることが可能であった.
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Research Products
(1 results)