2005 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧山野草ユキモチソウの繁殖及び生育開花生理の解明
Project/Area Number |
15580024
|
Research Institution | KAGAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 あつし 香川大学, 農学部, 教授 (70036044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 誠一 香川大学, 農学部, 教授 (80228858)
小林 剛 香川大学, 農学部, 助教授 (70346633)
|
Keywords | ユキモチソウ / 絶滅危惧種 / 光合成 / 休眠打破 |
Research Abstract |
ユキモチソウの果実内種子数は0-2粒の割合が多く,果実内種子数が多いと一粒重は小さくなる傾向にあったが,総種子数と平均種子重に相関関係はなかった.種子重が大きいと生産された植物体の地上部も大きくなり,収穫された球根重も大きくなる傾向にあった. 雌性および雄性のユキモチソウをポットに植え,生育時の光強度を寒冷紗で調節(相対光量子密度28,14および4%)し,出芽および地上部を展開させた.よく発達した小葉を対象として,MINI-PAMによるクロロフィル蛍光を晴天日の日の出前から日没まで追跡した.開花期(5月)では,より強い光条件で生育する個体ほど日中の光化学系IIの光利用効率(ΔF/Fm')が低下していた.一方,日中の電子伝達速度(ETR)はより高く,非光化学的エネルギー放散(NPQ)によって光合成の日中低下を回避していることが示唆された.この傾向は雌個体で顕著だった.光利用効率は夕方にはほぼ回復し,顕著な強光阻害も見られなかった.しかし,開花終了時(6月)には,雌雄にかかわりなく日中のETRの上昇は鈍く,光利用効率は夕方までに回復しなかった.相対光量子密度4%〜14%の弱光下では,雌雄や時期に係わらず一定の光合成能を維持していた. 以上の結果から,弱光下で生育するユキモチソウは,性表現または光強度の影響を受けずに光合成の光応答性を維持する機構を持ち,より強い光条件におかれた雌個体は生育期の早期から光合成能力を高め繁殖活動を支持する一方で,葉の老化も早期から生じる可能性が示唆された.
|
Research Products
(1 results)