2003 Fiscal Year Annual Research Report
大阪湾沿岸域における海浜植物の海流散布のメカニズムとその保全・再生に関する研究
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15580026
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上甫木 昭春 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70152858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 弘明 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所, 助手 (80311489)
服部 保 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (00244690)
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Keywords | 大阪湾 / 海浜植物 / 植生分布 / 成帯構造 / 施設配置 |
Research Abstract |
本年度は、大阪湾の海浜34地点に生育する海浜植物の分布特性をベルトトランセクト法を用いて調査し、海浜の利用に関わる要素との関係性を解析した。 その結果、全域利用の海浜は「裸地タイプ」「単一植生-部分タイプ」に、部分制限利用は「単一植生-部分タイプ」「混在タイプ」に、利用なしの海浜は主に「多構成種-広域タイプ」に区分される傾向が明らかとなった。さらに、同じ利用区域を有する海浜でも、施設配置や入り口配置、隣接部の利用の強弱の違いによって、分布特性が区分される傾向が認められた。すなわち、全域利用の海浜では、施設配置が隣接配置の海浜で「裸地タイプ」、隣接部に対して利用度が相対的に弱い海浜は「単一植生-部分タイプ」に区分される傾向にあった。部分制限利用では、施設の隣接配置や入口の全域配置が「単一植生-部分タイプ」に、隣接部に対して利用度が相対的に弱い海浜は「混在タイプ」に区分される傾向にあった。また、利用なしの海浜では、入口なしの海浜が「多構成種-広域タイプ」に区分される傾向を示し、それ以外の海浜については、砂浜の発達段階が分布特性に影響することがうかがえた。 以上の結果より、大阪湾沿岸域のように、海浜部が主としてレジャー利用に活用されるような場所でも、(1)独立して存在する海浜については、利用区域の制限を行い、利用エリアと海浜植物の保全エリアを共存させる、(2)複数の海浜が連続するような場所では、隣接部に対する利用度が弱い海浜が、海浜植物を保全する場に利用できる可能性がある、(3)利用なしの海浜では、外部からのアクセスを制限することでより保全に特化する、といった点に留意することで、海浜植物の保全・再生の可能性が見いだせると考えられた。
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[Publications] 押田佳子, 上甫木昭春: "大阪湾沿岸域における海浜植物の種数、多様度、占有割合への影響要因"環境情報科学論文集. No.17. 335-340 (2003)
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[Publications] 押田佳子, 上甫木昭春: "成帯構造からみた海浜植物の分布特性と海浜の利用に関わる要素との関係性に関する研究"ランドスケープ研究. vol67,No.5(印刷中). (2004)