2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580039
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩見 雅史 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40193768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 勝 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (80143874)
|
Keywords | エクジソン / 脳 / カイコガ / 形態 / 変態 / 受容体 / 遺伝子発現 / 昆虫 |
Research Abstract |
昆虫の発生において、エクジソンは各組織で特異的な遺伝子発現を誘導させ、結果的に脱皮・変態を促す。一方、脳はエクジソンの合成・分泌を刺激する前胸腺刺激ホルモン(PTTH) を分泌し、最上位で昆虫の発生を支配している。脳では同時に、エクジソンに応答して様々な遺伝子が発現し、幼虫型から蛹型、成虫型へと形態的にもダイナミックな再構築が行われる。従って、脳におけるエクジソン応答遺伝子は、脳の再構築や内分泌系を介した後胚発生の制御に関与していることが示唆され、これらの解析により昆虫の後胚発生を司る分子メカニズムの解明が期待される。 本年度は昨年度に引き続き、カイコガ5齢幼虫脳において遺伝子の約80%を網羅したマイクロアレイによるエクジソン応答遺伝子の網羅的発現解析を行ない、エクジソンにより発現が誘導される93の遺伝子、発現が抑制される97遺伝子を同定した。これら遺伝子より、約20の遺伝子についてin situ hybridizationにより、脳内発現細胞を同定したところ、ほとんどの遺伝子がPTTH産生細胞でのみ発現が見られた。同様に、サブトラクションライブラリーより単離した約300遺伝子について,RT-PCRによりエクジソン応答性が確認された7遺伝子の脳内発現細胞を同定したところ、ほとんどの遺伝子がPTTH産生細胞で発現が見られた。加えて、EcR及びUSP遺伝子のエクジソン応答性と脳内発現細胞の同定を試みたところ、脳内における主たる発現細胞がPTTH産生細胞であった。エクジソン応答遺伝子のほとんど及びエクジソン受容体遺伝子が、PTTH産生細胞でのみ発現していることは、PTTH産生細胞が昆虫の変態において、脳の機能と形態の制御機構を支配する細胞、すなわち、"master cells"の役割を担っていることを示唆している。
|
Research Products
(3 results)