2005 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫神経ペプチドが種特異的な生理機能を発現する機構解明
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15580043
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Research Institution | Notional Institute of Agrobiological Sciences (NIAS) |
Principal Investigator |
田中 良明 独立行政法人農業生物資源研究所, 発生分化研究グループ, 主任研究官 (90355735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60183109)
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Keywords | 神経ペプチド / カイコ / 鱗翅目昆虫 / 受容体 / ゲノム / 遺伝子クローニング / 前胸腺抑制活性 / 神経生理 |
Research Abstract |
1.KAIKOBLASTを利用して、カイコのコラゾニン受容体遺伝子をクローニングした。カイココラゾニン受容体のアミノ酸配列は、タバコスズメガのコラゾニン受容体と約80%の相同性があり、アフリカツメガエルの卵母細胞の系を用いて機能解析をおこなったところ、nMのオーダーの濃度のコラゾニンに対して応答し、構造の類似した他のペプチドには応答しなかったことから、単離した遺伝子がコラゾニン受容体をコードしていることが確認された。定量的RT-PCR法により各組織における発現分布を調べたところ、コラゾニン受容体遺伝子は脱皮行動に重要な役割を果たす気門裏面腺で最も強く、次いで前部絹糸腺、中枢神経系で強く発現していた。また、バッタでコラゾニンの標的器官と推定されている皮膚では発現が検出されなかった。これらの結果は、コラゾニンが鱗翅目昆虫では脱皮行動および吐糸行動に作用を及ぼす、という報告と一致していた。 2.カイコ前胸神経節および脳抽出物から、前年度単離したカイコミオサプレッシン(BMS)以外のRFアミドペプチドを精製し、KAIKOBLASTを利用してこれらのペプチド(カイコFMRFアミド関連ペプチド:BRFa)をコードするcDNAをクローニングした。また、直接マススペクトロメトリー分析および神経の活動電位測定の結果から、BRFaが前胸腺の活性が低い5齢幼虫摂食期に、前胸神経節から前胸腺に投射する神経を介して前胸腺に分泌されていることが証明された。これは昆虫の前胸腺の神経支配の機構を分子レベルで解明した初の例である。
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Research Products
(2 results)