2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580044
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
姜 媛瓊 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 先任研究員 (30291917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 典子 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 協力研究員 (80333334)
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Keywords | BmNPV / BRO / 核外輸送 / RINGフィンガー蛋白質 / ユビキチンリガーゼE3 / IE3 |
Research Abstract |
本研究では、カイコを宿主とするカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)を用いて、バキュロウイルス感染時に行われる宿主制御を細胞レベルにおいて解析する。当初の計画に沿って、二つのアプローチを行った。まず、核と細胞質の両方に局在を示したBmNPVのBROタンパク質にはnuclear export signal(NES)様配列が存在する。そこで、CRM1経由の核外輸送の阻害剤であるLeptomycin B(LMB)を用いたところ、LMB存在下では、BROタンパク質は核内に蓄積し、細胞質への局在を示さなくなることがわかった。さらに、NES機能上重要なロイシン残基を他のアミノ酸に置換する突然変異を導入したところ、LMB処理同様の結果が得られた。これらの結果は、BROタンパク質がCRM1を介して、核外に輸送されることを強く示唆する。そこで、CRM1とBROが直接相互作用するかどうかを調べている。一方、BmNPVに存在する6つのRINGフィンガー蛋白質を用いた解析より、3つのタンパク質(IAP2、IE2、PE38)がRINGフィンガー領域依存的にユビキチンリガーゼE3活性を示すことがわかった。ウェスタン解析によって、E3活性を示したIE2は感染後24時間までに徐々に消失することが明らかになった。そこで、プロテアソーム阻害剤であるMG132を感染細胞に処理した結果、IE2の消失にはプロテアソームによる分解が関与していることが示唆された。また、感染細胞の核内にIE2が形成する点状局在(foci)も、感染後12時間までに消失するが、MG132処理やE3活性欠失変異導入により、拡大したfoci形成を示すことがわかった。以上の結果から、IE2のE3活性が自身の発現消長および細胞内局在を調節していることが明らかになった。現在、E3活性を示したRINGフィンガー蛋白質と相互作用する因子の探索を行っている。
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Research Products
(1 results)