2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580051
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
山田 秀和 京都府立大学, 農学研究科, 助教授 (60094405)
|
Keywords | ヨウ素 / イネ赤枯れ病 / イネ根部酸化力 / 臭素 / 分子状ヨウ素 / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
イネをヨウ化物イオン(I^-)と臭化物イオン(Br^-)を同濃度含む水耕液で栽培すると,毒性の強いヨウ素(I)を選択的に吸収する.そこで本年度の研究では,イネによるIの選択的吸収機構を検討した. Iと臭素(Br)の酸化還元電位(E^0,Volt vs.NHE)は異なりE^0(I_2/I^-)0.54,E^0(Br_2/Br^-)1.07であること,イネ根部はFe^<2+>をFe^<3+>に酸化(E^0(Fe^<3+>/Fe^<2+>),0.77)する酸化力を有すこと,さらにE^0(I^2/I^-)<E^0(Fe^<3+>/Fe^<2+>)であること等をもとに,イネによるI吸収の選択性を説明する仮説--イネは,I^-とBr^-をイオン吸収すると同時に,I^-を分子状ヨウ素(I_2)に酸化して吸収する--を提案した. この仮説を検証するため,8品種のイネ幼植物(播種後15日目)をI^-とBr^-を含む培養液で栽培して,I及びBr吸収量(測定:ICP-MS法)とイネ根部酸化力(測定:1-ナフチルアミン法)との関連性を検討した. その結果,(1)イネの吸収したBrは植物体全体にほぼ均等に分布するがIはその約90%が根部に蓄積すること,(2)イネ根部のIとBrの平均濃度(μmol g^<-1>乾物)は,それぞれ2.74,0.26で,IはBrより高濃度を示すこと,(3)イネのI吸収量は品種によって異なるが,Br吸収量は品種によらず一定すること,(4)イネ根部酸化力は品種によって異なること(平均:1.43μmolg^<-1>h^<-1>),(5)イネ根部酸化力とI吸収量との間に有意の相関(r=0.78,n=16)が成立するが,根部酸化力とBr吸収量との間に相関の認められないこと,等を明らかにした.これらの実験結果から仮説の妥当性を検証した.
|