2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580073
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
千 菊夫 信州大学, 農学部, 教授 (80196980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴井 博四郎 信州大学, 農学部, 教授 (60313839)
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Keywords | 担子菌 / キノコ / スエヒロタケ / 子実体形成 / シグナル伝達 / トリプトファン / インドール / カフェイン |
Research Abstract |
1.スエヒロタケ細胞内シグナリングの解析 培地中へのインドール添加は子実体形成誘導物質cAMPの細胞内濃度に影響を与える.この現象を精査する前段として,培地中へのトリプトファン(インドール骨格を持つ)の添加に対する細胞応答とind1変異(インドール耐性変異)との関係を調査した.興味深いことに,野生型スエヒロタケは10〜20mMという高濃度トリプトファンで菌糸生長が抑制されたが,インドール耐性変異株ではその抑制が解除された. 2スエヒロタケのTRP1遺伝子の機能ドメイン解析 スエヒロタケTRP1はind1変異やcfn1変異(カフェイン耐性変異)によって引き起こされる性生長(交配,核移動)の異常を抑制する.TRP1遺伝子産物はグルタミンアミノトランスフェラーゼ,インドール-3-グリセロールリン酸シンターゼ(IGPS)および5-ホスホリボシルアントラニル酸イソメラーゼの三重機能酵素である.これら3つのドメインを分割して発現できる組換え体遺伝子を作製しスエヒロタケに形質転換して性生長に与える効果を観察した.その結果,IGPS領域はTRP1遺伝子と同様に化合物耐性変異遺伝子が引き起こす核移動異常を回復させる機能があり,その機能は遺伝子量によって強化された.また,TRP1遺伝子は核移動異常を抑制する機能ばかりでなく正の性生長調節機能があり,その機能発現にIGPS領域が必須であった. 3スエヒロタケのind1変異とcfn1変異の同定と機能解析 ind1変異とcfn1変異は,化合物耐性の点でいずれも優性変異である.これらのうちcfn1変異を持つスエヒロタケ菌株のcDNAのライブラリーを作製した.これらのcDNAライブラリーを単細胞菌類である酵母に形質転換し,高濃度カフェイン耐性を指標にして,cfn1変異遺伝子の選抜を試みたが,目的遺伝子の取得には至らなかった。
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