2004 Fiscal Year Annual Research Report
NMRの新手法の開発、立体化学に有用なスピン結合定数の測定法とその応用
Project/Area Number |
15580089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
降旗 一夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20219091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田之倉 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60136786)
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Keywords | HR-HMBC / BIRD-J-resolved HMBC |
Research Abstract |
本研究は、複雑な天然有機化合物の構造解析、主として立体構造の解析を行うためのプロトン-炭素間の遠隔スピン結合定数を観測する方法の開発を主目的にし、二つの新しい方法、HR-HMBC(15年度)とBIRD-J-resolved HMBC(16年度)を開発した。 有機化合物の立体化学の研究では、NMRによるプロトン-プロトンのスピン結合定数の解析が重要である。ポリケタイド抗生物質にはメチル基を含んだスピン系(-CH_A-CH_B(CH3)-CH_C-)が多く存在する。このようなスピン系において、メチンプロトンH_Bは複雑に分裂し、ビシナルプロトンとのスピン結合定数を読みとることがしばしば困難であった。このような複雑に分裂したH_Bのプロトンにおいて、スピン結合を解析することが立体化学研究のうえで重要になる場合がある。このような複雑なスピン系でのプロトン-プロトンのスピン結合定数を観測する目的で新しくBIRD-J-resolved HMBC法を開発した。 既にlong range J_<CH>を観測する方法としてHR-HMBC法を開発した。この方法では、F_1軸方向において、通常の測定point数でプロトン-プロトンのスピン分裂が観測可能となるように見かけ上の分解能を高めることができる。このパルス系列にBIRDパルスを応用し、ビシナルプロトンをdecouplingし、HR-HMBCスペクトルを観測する方法を開発した(例えばスピン系(-CH_A-CH_B(CH3)-CH_C-)のメチル基)。その結果、メチンプロトンH_BはH_AとH_Cとのスピン分裂だけになり、H_Bのプロトンの解析は容易となる。この方法をモデル化合物portmicin、さらにはmonazomicin,に応用した結果、プロトン-プロトンのスピン結合定数の解析が容易となり立体化学の研究に応用できることが判明した。また、プロトンの連結したスピン系において、HMBCスペクトルにおけるの^2J結合、^3J結合のクロスピークの区別も可能となった。
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Research Products
(3 results)