2003 Fiscal Year Annual Research Report
動物及び植物に生理活性を示す節足動物由来の有機化合物
Project/Area Number |
15580090
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 直樹 京都大学, 農学研究科, 助手 (30293913)
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 室内塵性ダニ / コナヒョウヒダニ / ヤケヒョウヒダニ / エリシター / volicitin / 誘導抵抗性 |
Research Abstract |
1)室内塵性ダニ(コナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニ)共通成分の同定 アトピー性皮膚炎重症の患者の環境から,室内塵性ダニのコナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニを除くとアトピー性皮膚炎が軽快することや,パッチテストにダニ虫体そのものやアセトン抽出物を使うと明瞭な陽性反応が出ることから,アトピー性皮膚炎にはダニ由来の低分子有機化合物が原因の一つになっていると認識されている. これら室内塵性ダニのヘキサン抽出物中に共通成分を見出し,核磁気共鳴スペクトル・マススペクトル・赤外線吸収スペクトルを測定した結果,アルデヒド基を持つフェノール性化合物と推定した.現在合成により,その推定構造の確認を行っている.構造が確認されれば,大量合成法を確立し,パッチテストに供する. 2)トウモロコシに揮発成分を放出させるエリシターvolicitin類縁体の生理活性 植食者に食害されたトウモロコシが揮発成分を放出し,その揮発成分を手掛かりとして寄生蜂が植食者を発見すると考えられている.この揮発成分を放出させるエリシターとして,植食者の唾液中からvolicitin[N-(17-hydroxylinolenoyl)-L-glutamine]が同定された. Volicitinを不斉合成し,天然volicitinの17位の立体化学をS-体と決定した.トウモロコシを(S)-及び(R)-volicitinで処理したところ,いずれの場合も揮発成分が放出され,エリシター活性に差は認められなかった.また,17位が酸化されていないN-(linolenoyl)-L-glutamineはvolicitinの約30%の活性を示した.一方,アミノ酸部分をGlnからPhe,Thr,Leu,Proに置換したところ,Glnのみがエリシター活性を示した.
|