2003 Fiscal Year Annual Research Report
オタマジャクシの尾部アポトーシスにおけるカルニチンの役割
Project/Area Number |
15580093
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
花田 秀樹 広島大学, 大学院・理学研究科, 教務員 (50228508)
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Keywords | アポトーシス / カルニチン / オタマジャクシ / DNA断片化 / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
無尾両生類オタマジャクシの尾部は体の約2/3を占める大きな器官である。甲状腺ホルモン処理した無尾両生類オタマジャクシの尾部はわずか5-6日で消失する(尾部アポトーシス(AP))。多くの研究者が尾部APの機構を明らかにしようと試みたが、詳細はいまだ不明のままである。我々は、活性酸素が尾部APに重要な役割を果たしていることを明らかにした(Hanada et al.,1997;Kashiwagi et al.,1998,1999)。尾部APは大きく二つの経路を経て起こると考えられる。すなわち(1)甲状腺ホルモン増加→NO生成(NOSの活性化による?)→カタラーゼ活性の阻害→過酸化水素の蓄積→リソソーム膜の脂質過酸化→リソソーム酵素遊出→caspase-3の活性化、および(2)甲状腺ホルモンの刺激→ミトコンドリア(MT)permeability transition pore(PTP)の開口→シトクロムc遊出→caspase-9の活性化→caspase-3の活性化。 カルニチンはβ酸化のため脂肪酸をMT内へと運ぶ重要な役割を果たしている。培養細胞を材料にした最近の研究から、カルニチンはMTのPTP開口を阻害し、アポトーシスを抑制すると考えられている(Mutomba et al.,2000;Kashiwagi et al.,2001)。甲状腺ホルモン処理によるオタマジャクシ尾部APにおけるカルニチンの働きを明らかにするため、本研究は続行中である。現在、培養ツチガエルオタマジャクシ尾部片、および生体のツチガエルオタマジャクシを用い、カルニチンが甲状腺ホルモン誘導による尾部短縮を阻害することを確かめた。今後は生化学的手法を用い、カルニチンが甲状腺ホルモン誘導による尾部短縮に伴うDNA断片化を抑制するか否か、またどのような機構で尾部APを抑制するのかを明らかにしたい。
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