2004 Fiscal Year Annual Research Report
モニターペプチドによるCCK放出において結合分子グランザイムAが果たす役割の解明
Project/Area Number |
15580106
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
都築 巧 京都大学, 農学研究科, 助手 (50283651)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 照雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (10177701)
井上 和生 京都大学, 農学研究科, 助手 (80213148)
|
Keywords | モニターペプチド / 膵分泌性トリプシンインヒビター / コレシストキニン / グランザイムA / 上皮細胞間Tリンパ球 / 腸管上皮細胞 / ホルモン産生細胞 |
Research Abstract |
モニターペプチド(ラットの膵分泌性トリプシンインヒビターのひとつ)は小腸菅腔表面に作用してコレシストキニン(CCK)の放出を促す。申請者らはコラゲナーゼ処理によって分散させた小腸粘膜の表面にモニターペプチドと特異的に結合する蛋白質があることをみいだし、このものがCCKの放出を仲介する受容体として機能していると仮定してきた。近年この結合蛋白質を精製、N末端アミノ酸配列を決定したところ、細胞障害性リンパ球が産生するプロテアーゼ、グランザイムA(GrA)のそれと一致した。GrAは腸管においては上皮層に散在する上皮細胞間Tリンパ球に存在していることを本研究(平成15年度)にて明らかにしたが、このことからGrAがモニターペプチドによるCCK放出を仲介する受容体の本体ではないことが示唆された。本年度は腸管におけるGrAの生理的意義と、モニターペプチドとGrAの結合の生理的意義について検討した。 GrAは正常組織の腸管において構成的に発現していること、膵炎や大腸炎時、血中に多量のモニターペプチド見いだされることが知られているが、それらの生理的意義は不明であった。ラットなどの実験動物にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を摂取させると潰瘍性大腸炎様の症状を起こすが、この際大腸粘膜組織のGrA活性が著しく上昇していることを明らかにした。以前我々は試験管内でモニターペプチドがGrAの蛋白質分解活性を特異的に阻害することを見いだしていたが、今回DSS誘発大腸炎ラットにモニターペプチドを腹腔投与したところ炎症が低減した。これらの結果を総合すると、腸管におけるGrAは炎症反応の惹起に関わることで生体防御に寄与していること、GrA活性の異常亢進は過剰な炎症を引き起こすこと、血中に存在するモニターペプチドはGrAを阻害することによって過剰な炎症をコントロールしている、ことが示唆された。
|
Research Products
(5 results)