2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580110
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中山 勉 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50150199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教授 (10295561)
内藤 晶 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80172245)
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Keywords | ポリフェノール / 茶カテキン類 / リポソーム / 固体NMR / 脂質二重層 / 水晶発振子マイクロバランス / QCM / テアフラビン |
Research Abstract |
1.固体NMRによるEGCgと脂質二重層との相互作用解析 脂質膜中におけるEGCgの状態を明らかにするため、^2HでラベルしたEGCg ([4-^2H]EGCg)を組み込んだバイセル膜の固体^2H-NMRを測定した。その結果、得られたスペクトルはパウダーパターンの垂直成分に相当する配向線のみを示した。この結果より、[4-^2H]EGCgは膜に対して1種類の分子配向を示すことが明らかになった。さらに、脂質膜に結合した[4-^2H]EGCgは、C-^2Hが運動の対称軸である膜法線から48度傾いて回転する動的に配向した状態をとることも明らかになった。また、^2H-NMR測定の際、四極子エコー法におけるパルス系列のτの遅延時間を様々に変えて測定したところ、固体2H-NMRスペクトルの分裂幅に変化が認められたため、[4-^2H]EGCgと膜との結合の強さに分布があることも判明した。 2.QCMを用いたカテキン類と脂質二重層との相五作用の解析 カテキン類及びテアフラビン類と脂質膜との相互作用を、水晶発振子マイクロバランス(QCM)による物理化学的解析によって数値化した。センサーチップに脂質膜を固定化し、振動の安定化後、試料を添加した。振動数の経時的変化を観測し、結合の絶対量から結合速度定数及び結合定数(Ka)を求め、カテキン類と脂質膜との結合状況を調べた。その結果、(1)カテキン類のKaは、リポソーム系で調べた膜への取り込み率と同じ順序(ECg>EGCg>EC>EGC)であった。また、シス体のKaはそれぞれ対応するトランス体に比べ高かった(ECg>Cg, EGCg>GCg)。(2)テアフラビン類は、ガレート構造の増加に伴いKaの増加が見られ、膜への親和性にガレート構造が関与していることが示唆された。以上より、QCM測定は、カテキン類と脂質膜との親和性に関する動力学定数を数値化できる有効な方法であることが明らかになった。
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