2005 Fiscal Year Annual Research Report
小麦アレルゲンにおける共通抗原性を有する糖鎖に関する研究
Project/Area Number |
15580112
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
辻 英明 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20093875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 眞順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
比江森 美樹 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (80326412)
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Keywords | wheat allergen / Tri a Bd17K / Tri a Bd 27K / sugar chain / allergenicity / common antigen |
Research Abstract |
今日、植物性アレルゲンは数多く見出され、より複雑化している。しかし、一方では、複雑な様相を示すアレルゲンの間には相互に交差性が見られるということから、共通抗原性なる考え方が提案されている。この一つにアスパラギン結合型糖鎖が存在する。 私たちはこれまで、大豆主要アレルゲンGly m Bd 28K及び小麦アレルゲンTri a Bd 17Kの糖鎖部分がアレルゲン性を示すことを明らかにしてきた。 本年度は、小麦主要アレルゲンTri a Bd 27Kの性質について詳細に検討した。分析にあたり、本アレルゲンのモノクローナル抗体を作成して、小麦における本アレルゲンをSDS-PAGEにおける2次元電気泳動により分析した結果、等電点および分子量の異なる複数のバンドが認められた。これらのスポットを切り出し、N末端アミノ酸分析を行ったところ、Tri a Bd 27Kに所属し、いくつかのアミノ酸残基が異なる多形態で存在していることが明らかになった。また患者血清と反応性を示すのはヒイオチャワンタケのフコースと反応するレクチンに陽性のアスパラギン結合型糖鎖を有するスポットのみであり、ペルオキシダーゼの糖鎖に対する抗体を用いても同様な結果を得た。さらに、糖鎖を有するTri a Bd 27Kをゲルから切り出し、糖組成分析した結果、マンノース、N-アセチルグルコサミンが検出されたほか、ガラクトース、フコース及びキシロースの存在が示された。また、本アレルゲンを大腸菌にて発現させた組み換え型タンパク質と患者血清との間には反応性は認められなかった。 以上の事実を総合すると、Tri a Bd 27Kが患者血清中の本アレルゲンと特異的に反応するIgE抗体の大半が、本アレルゲンに結合しているアスパラギン結合型糖鎖と反応することを示すものである。
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Research Products
(1 results)