2003 Fiscal Year Annual Research Report
アミロペクチン生合成に関与するデンプン枝切り酵素の分子論的解析
Project/Area Number |
15580115
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
岩本 博行 福山大学, 生命工学部, 助教授 (90213321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 順造 福山大学, 生命工学部, 教授 (70080215)
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Keywords | アミロペクチン / 枝切り酵素 / プルラナーゼ / 反応速度論 |
Research Abstract |
デンプンは植物によって作られる最も重要な貯蔵多糖である。現在国内外でイネゲノムプロジェクトが進展しており、今後ゲノム情報を利用した新形質植物の創成が期待される。デンプンの主要構成成分であるアミロペクチンの生合成には10数種類の酵素が関与すると考えられているが、高等植物に存在する澱粉枝切り酵素が、澱粉の分解ばかりでなくアミロペクチンのクラスター構造形成にも関与していることが明らかにされつつある。この様な働きは主としてイソアミラーゼが担っているとされるが、プルラナーゼも相補的な役割を持つのではないかと推定されている。本年度は、イネ胚乳由来プルラナーゼの酵素化学的・反応速度論的性質を調べ、微生物由来のプルラナーゼと比較した。 まずイネ胚乳由来プルラナーゼを、登熟期のイネ種子からアフィニティーカラムとゲル濾過カラムを用いて精製した。酵素活性はプルランを基質とし、還元力の増加を測定する事により求めた。酵素はpHが5.5から7.5の間で最大活性を示したので、本研究では50mM酢酸緩衝液(pH5.6)中で活性を測定する事にした。次に至適温度を調べたところ、50℃付近で活性が最大となった。イネプルラナーゼのプルランに対するKm(ミカエリス定数)およびkcat(モル活性)値や、α-、β-、γ-シクロデキストリンによる阻害物質定数(Ki)を調べたところ、これらの値は微生物Klebsiella由来酵素の値と極めてよく似ていることが分かった。次に、マルトオリゴ糖(アルコール)との相互作用について調べたところ,イネ酵素とKlebsiella由来酵素の間に違いが見られた。この結果と、プルランを部分加水分解して得られた6^3-マルトトリオシル-マルトトリオースを基質にした時の反応速度パラメータから、イネ胚乳酵素と微生物酵素では基質結合部位の構造に違いがあることが示唆された。
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