2004 Fiscal Year Annual Research Report
アミロペクチン生合成に関与するデンプン枝切り酵素の分子論的解析
Project/Area Number |
15580115
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
岩本 博行 福山大学, 生命工学部, 助教授 (90213321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 順造 福山大学, 生命工学部, 教授 (70080215)
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Keywords | アミロペクチン / デンプン枝切り酵素 / プルラナーゼ / イソアミラーゼ / 反応速度論 |
Research Abstract |
アミロペクチンの生合成についてはここ数年精力的に研究され、主に穀類を用いた研究によりデンプン枝付酵素、デンプン合成酵素、デンプン枝切酵素の3つの酵素が最も重要であることが明らかになった。このうちデンプン枝切酵素は、アミロペクチンのクラスター構造の形成に関与しているとされるが、この働きは主としてイソアミラーゼが担っている。一方プルラナーゼも何らかの相補的な役割を持つのではないかと推定されている。平成16年度は平成15年度のイネに続き、イモ類であるジャガイモ由来プルラナーゼの酵素化学的・反応速度論的性質を調べた。実験に用いたジャガイモ酵素は、秋田県立大学から頂いた。酵素はジャガイモ塊根から硫安沈殿、アフィニティークロマトなどにより精製した。分子量はほぼ100kDaであるが、ゲル濾過結果から本酵素はオリゴマー構造を持つ可能性が示唆された。なおジャガイモ塊根では、プルラナーゼの活性、タンパク量ともにイネに比べて極めて低く、イネ穀粒中の数%以下にとどまった。プルランを基質にした場合の至適pHは5.5〜6.5で、イネ酵素に比べると中性付近の活性が低い。至適温度は40℃付近で、イネ酵素に比べると10℃ほど低い。プルランに対するKm値はイネやKlebsiella由来酵素とあまり変わらなかったが、k_<cat>は10分の1以下と極めて小さかった。α-、β-、γ-シクロデキストリン(CD)は、ジャガイモプルラナーゼを拮抗的ではなく非拮抗的に阻害した。またKlebsiella、Bacillus、およびイネ由来の全てのプルラナーゼは、α-、γ-CDに比べてβ-CDの阻害が2桁程強いのに対して、ジャガイモ酵素ではこのような挙動は見られなかった。以上からジャガイモ由来プルラナーゼは、微生物や穀類由来の典型的なプルラナーゼとは異なる性質を持ち、活性中心の構造も異なると推定された。
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