2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580117
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Research Institution | Kyoto Women's Junior College |
Principal Investigator |
成田 宏史 京都女子大学短期大学部, 生活科学科, 教授 (30155999)
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Keywords | 食物アレルギー / アレルゲン / 母乳 / 免疫複合体 / 分泌型IgA / 経口免疫寛容 |
Research Abstract |
(1)母親の食事記録(卵摂取)と母乳中のアレルゲンの解析結果を比較したところ、多くの場合相関は認められなかったが、ゆで卵一つの摂取2時間後に一過性の遊離オボムコイドの上昇を認めた場合があった。この時、オボアルブミンやカゼインは上昇していなかったことから、母乳へのアレルゲン分泌(腸管におけるアレルゲン吸収)には特異性があることが示唆された。 (2)ラットをたんぱく質として卵白のみ(E群)、牛乳のみ(M群)で飼育した。E群の母乳中にオボアルブミン・IgA免疫複合体、M群の母乳中にカゼイン・IgA免疫複合体の存在を確認し、ヒトで確認した現象がラットでも起こっていることが判明した。 (3)8ヶ月齢のM群を卵白および牛乳たんぱく質で免疫し、血清中のIgA、IgGを定量したところ、牛乳たんぱく質に対するIgG産生に抑制がかかっていたことから、食餌により経口免疫寛容が成立していることが確認できた。 (4)E群の母親から生まれて、その母乳で育ったラットを離乳後、牛乳餌3週間・卵白餌3週間を与えた群(E : ME群)と牛乳餌を6週間与えた群(E:MM群)に分け、採血の2週間前に卵白・牛乳たんぱく質で免疫した結果、E:ME群で牛乳に対する経口免疫寛容の成立を見た。 (5)ヒト唾液中にオボアルブミンおよびカゼインのIgAならびにIgA免疫複合体の存在を確認し、GALTで誘導されたIgA産生細胞が実効組織として乳腺のみならず唾液腺にもホーミングしていることを明らかにした。
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